かげ

本日は、出演者の大谷さんが、シャドゥ·シアターについて、影の姿について語ってくれました。


「影」とは一般的に、物が光を遮って、光源と反対側にできる、そのものの黒い像のことをさします。

影が薄いというのは存在感がない時に使われる言葉ですし、
月影星影は月の光や星の光のことを意味します。

つまり影とは、何かが存在していることを証明するものだ、と私は思います。

スクリーンの内側で演じていると、私の身体に光が触れ、私の身体に触れなかった光がスクリーンを照らします。
つまりそこには私と、私以外の、境界線が現れます。

私の影が私の存在を証明してくれている。
他の誰でもない私の輪郭が、私の存在を肯定してくれていることにいつも大きく勇気づけられます。

(ピーターパンにとっての影も、もしかしたらそんな存在なのかもしれません。)

そして子ども達はその影をみて、笑ったり、驚いたり、おそらく自分を投影したりして、夢中になってくれる。
子ども達と自分とが影を通して通じあう。
それはとてつもない、喜びです。

今、テレビも、You Tubeも、3Dも、VRもある世界で、
何もかも、存在することが当たり前になっています。
(時に存在しないものが存在しているかのように見せることさえできます。)

何もない空間を失うことで、
私達は他者との境界線を見失いつつあるのではないでしょうか。
つまり自分の輪郭を。

シャドゥ・シアターには台詞はありません。
表情もありません。
明確なストーリーも説明されません。

子ども達の前に存在しないものが現れるんです。
だからその何もない空間に、子ども達は大きく手を伸ばすことができます。

どんな風に手を伸ばしたのか。
ひとつのシーンをみて、何を想像したか、どんな気持ちになったか、もしかしたら風を感じたかもしれません、匂いを、音を感じたかもしれません。
その軌跡が、まぎれもなく、子ども達一人ひとりの輪郭になると思うのです。

それは自分という存在の価値を確かに感じさせてくれるものだと信じています。

子ども達が、自分のことをちゃんと大切にできるよう、ほんの少しでもその手助けができるよう、シャドゥ・シアターの活動を応援していただけないでしょうか。
よろしくお願いいたします。