
支援総額
目標金額 3,500,000円
- 支援者
- 352人
- 募集終了日
- 2023年1月31日
100通りミュージカル・杉山昌行(BackstageVol.3)
2012年3月18日、出演者114名が東京で初公演を果たした「とびだす100通りのありがとう」からずっと関わり出演されている「杉山昌行」さん。
東日本大震災が発災したあの日から、自身を奮い立たせながら歩んできたミュージカルにかける想いを綴ります。
10年前、私は「とびだす100通りのありがとう」に出演しました。
あれから10年が経ち、あのときには書けなかったこと、今だから言えることがあります。
「被災者」とは言っても私は被災地に住んでいるというだけで厳密には被災者ではありません。家が海から離れているため津波の被害は受けておらず、家族も全員無事でした。もちろん家屋は地震による被害があり、親戚や友人知人まで含めれば多くの大切な人を亡くしました。
それでも、周りにいる本当に深刻な被害を受けた方々の前で私は「被災者」という肩書を名乗ることにためらいがありました。そこで、私と私の家族は全力で「応援する側」になろうと決めました。
そのような中で、ご縁があり10年前のミュージカルに参加することになりました。
「被災者が演じるミュージカル」という趣旨に私達は被災者として参加していいのだろうか、という葛藤はありましたが、やはり、みんなの応援をしよう、大変辛い思いをしている方々を元気づける手伝いができるのならば、という思いで引き受けました。
しかし、今思えばそれは甘い考えでした。
ミュージカルに関わる皆さんを元気づけようということは決して軽く考えていたわけではなかったのですが、参加する皆さんが受けていた精神的ダメージは私の想像をはるかに上回るものでした。
顔合わせから寺本先生の聞き取り取材を経て、はじめに歌ができ、やがて台本が出来上がるまで数か月。皆さんの表情は硬く、暗く、コミュニケーションはとれているはずなのになかなか打ち解けられないというような感覚を覚えました。
練習や会話の中で笑いが起こっても目は笑っていない。いつも悲しい瞳をしているのです。
取材から出来上がった台本で全てが実話ですから、それぞれご自身の体験をご自身のセリフで語ります。ご両親を亡くされた男性Oさん、御主人を亡くされた女性Tさん、避難した体育館に津波が押し寄せ水にまかれ2Fのギャラリーからやっとの思いで救助された女の子、等々。
誰もが何回練習を重ねても涙でセリフが言えなくなります。当然ですよね。毎回辛い記憶を呼び戻されるのですから。それを聞いている他のメンバーからも毎回嗚咽が聞こえます。この状況がしばらく続きました。
はじめのうちはただ台本を読み合わせているだけでしたが、やがて泣かずにセリフが言えるようになってくると、今度は寺本先生から鬼のような指導が入りました。
「読むのではなく、その時の気持ちを思い出して語りなさい」
「自分の言葉なんだから演技はいらない。本人が体験を語るのだから本物なんだ」と。そうなるとまた涙が出てきます。「迫真の演技」ではなく「真実の叫び」ですから、まさに鬼気迫るものがありました。
この時期は出演者と寺本先生の戦いという様相でした。
Oさんから後に聞いた話では、寺本先生のことが「大嫌いだった」ということでした。私の印象では、彼は出演者の中でも類を見ないほど深刻なダメージを受けており、最後(本番当日)まで常に表情が硬く冷たく、大震災のあの日から心が凍りついたままなのだろうと感じました。こんな風に心に傷を負っている人たちに追いうちをかけるようなやり方は大丈夫なのだろうかと、傍から見ていて気の毒になる程壮絶なやり取りだったと思います。
でも今考えると、これは彼ら(出演者)にとって必要な荒療治だったのだということがわかります。
ミュージカルが終了した後、しばらく経って再会したOさんは見違えるように柔らかい表情になっていました。今では積極的に各種社会貢献活動に参加されていると聞きます。本当にあの時とは別人のようで、でもおそらく、大震災の前は本来このような方だったのだろうなと思われる、明るく温和な人物になられていました。
彼がどのような折り合いをつけてあのような深刻な精神的ダメージを乗り越えたのかはわかりませんが、少なくとも、ステージでの絞り出すような心の叫びが必要条件であったことは間違いありません。
もちろん今は、寺本先生のことが「大好き」だそうです。
今回、「心の復興」という冠をつけてミュージカルを行うことになりますが、以前ある人がこう話していました。「住んでいる人の心の復興がなければ街が復興されたとは言えない。」と。
建物や道路、インフラは以前より立派になりました。物理的にはほぼ復興されたと言ってもよいかもしれません。壊れたものは直せばいい、しかし、壊れた心はどうすればよいのでしょうか。
大震災から11年を過ぎましたが、いまだに心の奥底で立ち止まったままの方もたくさんいます。あの時ミュージカルに参加した100人余りのメンバーの中にも、いまだに立ち直りきっていない人がいるかもしれません。
心の中は人それぞれで、立ち直るきっかけもスピードも違うため一概には言えませんが、あの時のOさんのような心の叫びを外に向かって吐き出すことは必要なのではないでしょうか。そうしないと、悲しみで満杯に膨れ上がった風船がこらえきれずに破裂してしまうからです。
今回も私たち杉山家族は、ミュージカルに関わる全ての人の「心の復興」を全力でお手伝いするつもりで参加しています。
ここまで読んでくださった皆さん、ミュージカル成功のため、どうか力強いエールとご支援のご協力をよろしくお願いいたします。
そして、できれば私たちの魂の叫びを観に来てください。
リターン
3,000円+システム利用料

お気持ち「ARIGATOU」サポーター①
・ご支援に対する感謝メール
- 申込数
- 110
- 在庫数
- 制限なし
- 発送完了予定月
- 2023年2月
5,000円+システム利用料

ポストカード付「ARIGATOU」サポーター
・ご支援に対する感謝メール
・総合監督「寺本建雄」が手掛ける特製ポストカード(非売品)
- 申込数
- 47
- 在庫数
- 制限なし
- 発送完了予定月
- 2023年5月
3,000円+システム利用料

お気持ち「ARIGATOU」サポーター①
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- 110
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- 2023年2月
5,000円+システム利用料

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