コラム：圧力波とは

圧力波とは

圧力波は音速を超えて伝わる圧力の波で衝撃波です。戦闘機やロケット、隕石や大気圏に再突入した人工衛星の周囲、火山の爆発や雷などによって起こります。音響インピーダンスが異なる境界でエネルギーを放出する特性があり、生体内では脂肪組織や筋肉内を通過し、大きく異なる骨表面や腱・靭帯付着部、腱変性部などとの境界部で反射・屈折し大きなエネルギーを放出します。

1960年代よりこの衝撃波を医療に使用するための研究が始まり、現在は体内深部の一点に収束させる収束型体外衝撃波を使用し尿路系結石に対する砕石治療がおこなわれています。一方拡散型体外衝撃波（圧力波）は 筋や人体に当てると焦点が無く皮膚から浅い領域にエネルギーが放射状に拡散し広範囲に及ぶため筋・腱の治療に適しています。骨折治癒や偽関節の骨癒合促進、創傷治癒促進の効果から難治性腱症に対する疼痛治療としてわが国では2008年に医療機器としての承認が下り、2012年より「難治性足底腱膜炎」に対する保険診療が可能になりました。

また疼痛緩和・筋疲労回復の効果を利用して運動器疾患に対する物理療法の一つとして特にスポーツ障害治療の分野で盛んに用いられるようになっています。

痙縮している筋に圧力波を当てると２－4週間の間、痙性が低下することが報告されています。この治療は現在リハビリテーション医学の領域では非常に注目されており様々な効果が期待されていますが、私は全身の様々な筋に痙縮が見られる重症心身障がい児（者）にとても適しているのではないかと私は考えています。

これこそが患者さんの痛みやつらさを解決できる方法を作れる手段であると確信しており、注射や手術のような負担の大きな治療が向いていない患者さんに安全に繰り返し提供できる治療方法を確立することがまず第一歩で多くの患者さん、歯がゆい思いをされていたご家族やスタッフのためにもぜひとも頑張りたいと思います。