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速水 御舟 《炎舞》 【重要文化財】

1925（大正14）年 山種美術館蔵

【解説】

1976（昭和51）年、当館では開館10周年を記念し、速水御舟（はやみ ぎょしゅう 1894-1935）の展覧会を準備していました。すると偶然にも、旧安宅（あたか）コレクションの御舟作品105点を一括購入しないかという話が舞い込んできたのです。

当時、館長を務めていた山﨑富治（やまざき とみじ 1925-2014）は、父の山﨑種二に相談し、購入を決断。土地や有価証券などを処分して資金を捻出し、無事購入を果たしました。

《炎舞》はその際に当館の所蔵となった御舟の代表作。1925（大正14）年、御舟は家族と軽井沢でひと夏を過ごし、毎晩のように焚き火をしては、炎とそこに群がる蛾を観察したといいます。背景の深い闇は、「もう一度描けといわれても、二度と出せない色」と御舟自身が語るとおり、試行錯誤の末にたどり着いた、絶妙な色合いです。