山岸伸写真展「日本人の心がやどる　靖國の櫻」を開催中です

靖國神社の桜は、神社創建にも功労のあった木戸孝允（桂小五郎）により明治三年頃の植樹から始まったといわれている。

今日では、染井吉野をはじめ山桜・寒緋桜・寒桜・富士桜・枝垂桜・鬱金桜など、五百本以上が咲き誇る都内有数の桜の名所となり、昭和四十一年からは境内の桜が標本木に指定され、東京の桜の開花及び満開の基準とされるようになった。

戦時中、兵士の愛唱歌であった『同期の桜』には「貴様と俺とは同期の桜、離れ離れに散ろうとも、花の都の靖國神社、春の （こずえ）に咲いて会おう」という一節がある。

また航空機による特攻隊員は「靖國神社の神門を入って二番目の桜の下で待っているぞ」と、見事突入の後、魂の集合場所として示し合わせていたのも靖國の桜である。

古から、その可憐な美しさと散り際の潔さが、日本人の感性とも相まって愛でられた桜。

とりわけ靖國神社の桜であればなおさらである。

「日本人の心がやどる」という言葉は、総じてこのお社の桜に、ふさわしい形容なのである。

私は、カメラマンとして長いこと女性を撮ってきたが、写真家としてのライフワークを追いかけるようになったのは大きな病気をしたことがきっかけだった。

何本か撮り進めたのだがそのうちのひとつが靖國神社の桜だ。

他の人とは違う生き方を見せたいと思っていたから「誰も見たことがない桜」をテーマとし、早朝4時から開門まで靖國神社でシャッターを切り続けた。

桜は満開だけでなく、つぼみから散った姿まですべてが絵になる。

病気をして先が見えないとき、桜の美しく咲き誇り、儚く散るところに命をもらった気がした。

10年もの歳月をかけて相対した

東京都心にある誰も見たことがない桜。

そんな靖國の桜からエネルギーを感じてもらえたらと思う。

山岸伸 SHIN YAMAGISHI

公益社団法人日本写真家協会会員/公益社団法人日本広告写真家協会会員

平成 28年日本写真協会 作家賞受賞

伊優・アイドル・スポーツ選手などのポートレートを中心に、広告・グラビア・写真集・

雑誌撮影など幅広く活躍。出版した写真集は400 冊を超える。

とかち観光大使を務め、オフィシャルカメラマンとして北海道遺産ばんえい競馬を撮り続け

写真展の開催や写真集『輓馬』(朝日新聞出版）など数冊を出版し貢献。

『世界文化遺産賀茂別雷神社（上賀茂神社） 第四十二回式年遷宮 ～正選宮迄の道～』

『帝国ホテルの記憶』『瞬間の顔』『KAO』写真展等を開催。

平成28年天皇皇后両陛下が賀茂別雷神社参拝の際にオフィシャルカメラマンとして全撮影のち、『天皇皇后両陛下参拝の儀記念誌』が発刊。