チャンス・フォー・チルドレン今井悠介さんからの応援メッセージ

　オンライン・ミーティングの中でもボーイスカウトがとりくむ社会的課題のひとつとして紹介している「体験格差」。ボーイスカウトが活動しているハイクやキャンプ等の体験活動へ参加した経験は将来にわたって大きな示唆を与え、成長する年収なども高くなる傾向がはっきりと出ていますが、貧困家庭の子どもたちは、そうした機会がなく、結局、体験が少ないままに大人になってしまう。自分が体験活動をしていないので、また子どもたちにもそうした活動をさせていないと多様な生き方に触れることなく大きくなってしまう。これがいわゆる経済的な「負の循環」です。

 

　今回は、そうした体験格差が実際に起こっていることについてデータなどのエビデンスに基づいて、社会に警鐘を与え、課題解決に実践されている、チャンス・フォー・チルドレンの今井代表理事にこのプロジェクトへ応援メッセージをいただきました。

 

 

　この度は、ボーイスカウト日本連盟創立100周年誠におめでとうございます。長きにわたり、日本国内の子どもたちの体験機会を支えてこられた皆さまの功績に、心より敬意を表します。

 

　私たちチャンス・フォー・チルドレンは、リーマンショックと東日本大震災をきっかけに、国内の子どもの貧困と教育格差の解消を目指して設立した公益法人です。私たちがこの11年間向き合い続けてきたのは、子どもの「体験格差」の問題です。

 

　近年、コロナ禍や物価高騰の影響で貧困や格差の問題が深刻化する中、昨年10月に体験格差の実態に関する調査を行いました。全国2,000人以上の小学生の子どもを持つ保護者を対象に、ボーイスカウト活動を含む学校外での体験活動への参加状況についてアンケート調査を行ったところ、様々な事実が明らかになりました。

 

　特に衝撃的だったのは、困窮家庭の子どもの約3人に1人が、直近1年間、学校外の体験機会（スポーツ、文化芸術活動、自然体験、地域行事や旅行など)が『何もない』という結果です。さらに、物価高騰の影響で、特に困窮家庭の子どもたちが、体験機会を失っているということも明らかになりました。

 

子どもたちは、本来、様々な体験を通じて、自らの強みや個性を発見し、伸ばしたり、意欲や自信を育んだり、多様な人と繋がる機会を得ます。これらは、子どもたちが豊かな生活を送るうえで不可欠な機会です。子どもたちが自分の力で変えることのできない家庭環境や経済的事情によって、体験機会を何も得られないという現状は、一日も早く解決するべき重大な問題です。

 

　今回、ボーイスカウト日本連盟の皆さまが行う、「経済的に困難な家庭の子どもたちにボーイスカウト活動を届ける活動」は、子どもの体験格差の解消に向けた大切な一歩だと思います。私はこの素晴らしい取り組みを心から応援しております。一人でも多くの方に、この活動にご賛同いただき、子どもたちが豊かな体験の機会を得られることを切に願っています。是非、応援のほど、よろしくお願いいたします。

 

公益社団法人チャンス・フォー・チルドレン

代表理事　今井 悠介

 

参考:子どもの「体験格差」実態調査についての中間報告

https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000011.000082214.html