世界の中で日本のカワウソを考えたい

  多くの国でカワウソの保全活動が行われています。IUCN(国際自然保護連合)SSC(種の保存のための委員会)カワウソ専門家グループ(OSG)のネットワークは世界中に張り巡らされており、協会の理事は全員がそのメンバーです。この繋がりを活かしながら、本協会も活動をしてきました。日本にカワウソを復活させるアドバイスを頂くために、今回のシンポジウムで誰に何をお話しいただくのが良いか考えました。

カワウソを復活させるために、世界でさまざまな取り組みが行われています。ドイツは環境を改善しカワウソの自然分散によって分布を拡大させることに成功しています。オランダは近隣の国からカワウソを持ってきて放して復活させました。アメリカでは数百頭から数千頭を国内で捕獲して絶滅した州に放しています。日本の参考になるのは、オランダやドイツの手法だと思います。そこで今回はオランダからディジョン氏をお招きしてお話を聞くことに致しました。

対馬に現れたカワウソは、糞から抽出したDNAの解析結果から、韓国南東部に生息するカワウソと同タイプのカワウソであることが分かりました。韓国と対馬は50km離れており、それをただ泳いで渡るというのは無理でしょう。韓国でも海が荒れた時に沖に流されたカワウソが保護されることがあります。韓国のゴミも沢山対馬に漂着していますので、沖に流されたカワウソが海流に乗って対馬にたどり着いた可能性が高いと考えています。このようなことから、韓国の状況を知ることが必要だと考え、韓国のカワウソ研究を牽引してこられた韓国カワウソ研究センターのハンソンヨン所長をお招きすることに致しました。

ディジョン氏は英語でハン氏は韓国語で講演されます。今年の2月にペルーで開催された世界カワウソ会議に出席した際に、英語をスペイン語に同時翻訳してスクリーンに映し出していました。これは良いと思い、今回はこの方法で同時通訳する予定です。

図1：韓国カワウソ研究センター

図2：1996年にオランダを訪問し電動ボートでカワウソ生息候補地を案内していただいた

日本アジアカワウソ保全協会理事長　佐々木　浩（筑紫女学園大学名誉教授）