【CACI物語：「預かりボランティア ③」】

 

15才目前にジャックラッセルテリアの「しゅんた」が虹の橋を渡り、

翌年には、同じくジャックの「ゆきお」も旅立ちました

息子同然の愛犬達との別れに、私たち夫婦は失意のどん底でした。

 

それでも犬のいない生活は考えられませんでした。

そして自分たちの犬を持つのは止めようと決め、

私が結婚前にボランティアしていた、

「預かりさん」として犬と関わろうと決めたのです。

 

 

私の父は猟を趣味とし、猟友会会員で、常に猟犬のいる家で育ちました。

イングリッシュセター、ゴードンセター、イングリッシュポインター、ジャーマンポインター。

後にライフルに進んだので、ハウンドタイプのビーグル等、様々なガンドッグと関わりながら育ち、その賢さ、美しさ、優しさを知りました。

 

 

そんなガンドッグに特化してレスキューしているCACIの一員になりたいと強く思い、連絡をしたのが始まりでした。

 

 

とにかく、条件の悪い子で良かったのです。

自分たちの楽しみの為に預かりをする訳ではありません。

私が鳥猟犬に対してある程度知識があるということもあったのでしょう。

金子代表が、緊急を要するポテチを託してくれました。

 

ポテチは美しいオスのイングリッシュセターですが、最悪な位置に腫瘍があり、

明日の見えない子でした。

金子代表の説明を聞き、預かりを即決しました。

 

 

ポテチは、福島愛護センターからCACIに引き取られました。

検査入院の時、耳の中が汚れすぎて見えなかったそうですが、耳掃除をしていると

頭を振った時、ポンっと何かが飛んで出たそうです。

その物体、2センチほどのイボのような腫瘍

病理の結果は「軟部組織肉腫」　癌でした。

頭が一部凹み、首が傾くのも、瞬きがぎこちないのも、これが原因でした。

それでも保護当初は、行動に異常もなく、食欲旺盛、元気いっぱいだったそうです。

 

 

頭に腫瘍を抱えているため、多くの運動もできず

楽しみと言えばおもちゃで遊び、おやつを食べ、

人が大好きで、くっついて甘えたい。そんなポテチでした。

大きな腫瘍で苦しいはずなのに、こちらに向ける眼差しは優しく愛に満ち、

澄んだ目で真っすぐに見つめてきます。

捨てられる以前、楽しいと幸せだと思えることは、どのくらいあったのでしょうか。

我が家に来て、少しでも穏やかで満ち足りた時を味わってくれたなら･･･

その一心でした。

 

ポテチとの別れは直ぐにやって来ました。

覚悟はありましたが、一ヵ月も満たない、あまりにも早い別れに、私たちは心身共に打ちのめされる思いでした。

 

 

ただ、私たちができうる範囲で、1頭の鳥猟犬が真っ当に生涯を終えられたことに

微かな安らぎを感じるのです。

短い時ではありましたが、ポテチと出会い、私たちも愛情豊かな楽しい日々を送ることができました。

 

 

ポテチ、ありがとう。

あなたという存在はとても尊く大切で、

決して簡単に捨てられるような命ではないということ。

私たちはあなたから多くのギフトをいただきましたよ。

 

（東京都江戸川区　亀井様）

 

 

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