【CARE緊急支援チームインタビュー】第五弾「非人道的とは」

《最終回のCARE緊急支援チームインタビュー！》

 

これまで4回に渡って掲載してきた緊急支援の専門家Gareth Price-JonesさんとLosane Rettaさんの二人へのインタビューが今回でとうとう最終回となります。

 

第五弾は、お二方が緊急支援の専門家として働く中で最も衝撃的だったことについてお話を聞きました。

 

 

Q．緊急支援に関して、最も衝撃的だった問題やエピソードは何ですか？

 

「私が最も衝撃的だったことは、あらゆる緊急対応において世界が人道支援に費やす額がかなり少ないということです（人道施策アドボカシーコーディネーターGareth）。」

 

Q．具体的な数字で表すとどのくらいですか？

 

「毎年人道支援に使用されるお金は270億ドルです。この額が示すのは、約80兆ドルある世界各国のGDP総額(World Bank 2017)のわずか0.03%しか緊急を要する最も脆弱な人々に対して使われていないという事実です。

実はこの270億ドルという額は、世界で最も大きな4つのタバコ企業の年間の手取りの利益よりも少ないのです。」

 

Q．その事実を知り、世界の人々に伝えたいことや訴えたいことはありますか？

 

「自然災害や戦争などを非人道的と考え、衝撃的な出来事だと思う人はたくさんいます。しかし実際には、先ほど話したような、人道支援に割り当てられている支援金額がかなり少ないという事実を知らないことも、大きな問題と言えます。世界中の方々に、人道支援の現状についてさらに知っていただけたら嬉しいですね。」

 

 

「非人道的」とは「人間が行うもしくは受ける行為とは思えない酷いありさま」を指します。しかしながら、甚だしい一例である虐殺や大量殺戮などの非人道的行為だけが問題なのではありません。

そうした事態に対応するための支援において、資金不足という問題があるという事実を、多くの人々が知らないことも問題の一つといえるでしょう。

 

グローバル化が促進され世界中の経済が活発化しているにも関わらず、莫大な経済資源のうち僅かな額しか人道支援に使われていません。

 

普段の生活の中で人道支援のことを深く考える人は、マジョリティではないかもしれません。そのため、世界で行っている人道支援の現状や、今回のような資金問題などを発信していくことも、私たちNGOの役目であると考え、これからもCAREは尽力してまいります。