ペンギンが飛び込んでくる？！

みなさん、こんにちは

「放射線を浴びたＸ年後」の伊東です。

こんな話があります。

乗組員やご遺族を取材するため、家々を回っていた時、一緒に行動している音声さんが「どの家に行ってもペンギンの置物を置いてるけどなんでかなあ？」と言うのです。

確かに、どの家に行っても玄関か居間にかなり大きいペンギンの置物がおいてるのです。

そこで、次にお伺いしたおんちゃんに思い切って聞いてみました。

そうすると思いがけない話が。

「昔、マグロ漁をしよったらペンギンが船に飛び込んでくるが。可愛いから船の中で飼ったり、中には連れて帰って室戸で散歩させる人もおった。大体の人が、記念に、はく製にして持って帰って飾っとる」

ペンギンが飛び込んでくる？！

 

にわかに信じがたい話ですが、それ以外にも想像もつかないような珍事がたくさんあったそうです。

だから、漁から戻って、「ペンギンが飛び込んでくる」と、飲み屋で話すと、必ず「おにいさん、また大ぼら吹いて。冗談言わんといて」と一蹴されてしまうことから、「話しても信じてもらえんから話すのをやめた。」というおんちゃん何人かに会いました。

確かに信じられないような体験です。

だからこそ、彼らの経験したことをなんとか記録したい。その思いを強くしています。

核実験の問題だけではなく、遠洋マグロ漁という世界を股に旅した彼らの記憶をとどめたいと思うのです。

これは本当に貴重な財産です。

「板こ一枚海の底」と言われるように、小さな木の船で、命を懸けて赤道直下まで行き、漁をした彼らの体験は記録されるべきです。

このまま消え去っていくのは残念でたまりません。

 

2004年　元乗組員を取材する（高知県内）

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