釣ったも魚もガンだった―漁師の証言

取材を開始してから17年。取材で聞いた漁師の声をお届けします。

 

生存者の証言

 

ビキニの水爆実験僕らも被っちょうがよ、ビキニの近くで操業しよったけん。
とにかく延縄をコールタールで染めてね、手がコールタールもっとるみたいになるわけよ。

そしたらブリッジの横に灰が落ちちょうが、それでやったら落ちるが。

 

そんで築地へ持ってきたら白い何を持っとる人が肩へかけてガーガー調べて。

 

一番放射能の多いがはデッキへ全部積んでね、東京湾のあれから、「三浦半島の何キロ沖へ捨て」言うて、大分捨てられた。

 

特に上っかわ、表面を泳ぐ魚にようけ居ったね。クロカワカジキとかメカジキ、それからカツオ。

 

その時分まだ若かったけんね、「そんなもんどうってことあるか」ゆうて、
安い魚を食事にしよったけん、カツオを酢につけて食べちょらあね。

 

生存者の証言

 

あの当時ね、魚がまあ言うたらガンよね、

 

特にカジキ類の、身の中にこんな大きな、土みたいな乾いた感じでね。

 

こんなもんがあるがよ、そういうのを度々見たね。

 

あれガンやろかね。

 

その（実験の）影響かどうか分からんけんど。あの当時、それから後もガイガー計数管持って行って、釣った魚一匹一匹放射能調べよったけんどね、沖で。

 

怖さと言うもんを綺麗にまだ分からなんだからね、放射能があるやつは全部捨てよったね、海へ。

 

捨てよったけど「勿体無いけん」ゆうてハランボの、油のあるトロのところ切ってきて私ら刺身で相当食べちょうがよ。

しょっちゅう食べよったが、トロの、ハランボのところを。

 

血合いとか腸にはもの凄い係数が当てたらガーって鳴るけんど、身だけやったらあんまり無いがよ、放射能が。

身には放射能があんまり無い、少しは鳴る奴があるけんど。

 

だから上手いこと切って食べよった、

 

血合いとか腸には多い、ガーって鳴りよったけんど。