しまね夢こむぎ®︎プロジェクト (3)　しまね夢こむぎとは

 

 

 

 

 

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本日は、森田教授によるプロジェクト説明動画全5回のうち第3回目「しまね夢こむぎ®とは」をお送りいたします。後半では、遠藤名誉教授による小麦染色体のお話と、実験系統の改良についてご紹介いたします。

 

--- 動画より抜粋 ---

 

小麦アレルギーの患者さんに、いざ、小麦を食べないでくださいと生活指導すると、大変困られます。

 

そこで、小麦アレルギー患者さんでも食べられる小麦が出来ないかと試行錯誤しました。先ず、小麦を酵素処理して、アレルゲン成分の分解を試みました。しかし、酵素処理すると、小麦のコシになるグルテンが分解されるため、小麦の特性が失われてしまうという難点がありました。

 

発想を転換し、小麦そのものにアレルゲンが含まない小麦を育てられないかと考えました。検索したところ、小麦の大家である遠藤先生（京都大学農学部教授）が1万種類以上の小麦品種のデータベースを管理していらっしゃることがわかりました。

 

共同研究が始まり、小麦アレルギーの主要抗原であるω-5グリアジンを含まない小麦を、河野研究員が見出しました。

 

この小麦を食用小麦に改良し、広く流通させることが出来得れば、小麦アレルギーの患者さんも安心して小麦を食べられるのではないかと考えたのが、このプロジェクトの始まりでした。

 

--- 動画はココまで ---

 

遠藤隆名誉教授（京都大学農学部）

 

 

◆ ω-5グリアジンの無い小麦

 

それでは、ω-5グリアジンの無い小麦について、小麦染色体の写真を交えて解説いたします。

 

ω-5グリアジンを作る遺伝子は、小麦の染色体の一つ（1B染色体）の末端付近（下図の青矢印）に存在しています。

 

 

1B染色体の末端が欠けている（下図の赤矢印）小麦の実験系統コレクションの中に、ω-5グリアジン遺伝子がなくなっているもの（1BS-18系統）がありました。参考文献（https://doi.org/10.1093/oxfordjournals.jhered.a023003）

 

 

◆　実験系統を改良した、しまね夢こむぎ®

 

実験系統の小麦は、しかしながら小麦粉の品質が全く良くありません。その上、背丈が高いため倒伏しやすく、日本での栽培には適していませんでした。

 

写真：実験系統の小麦の収穫期の様子、倒伏が目立つ

 

 

そこで、現在栽培されている実用品種に交配を繰り返して、実用品種の1BS-18系統、すなわち、しまね夢こむぎ®を育成しました。

 

戻し交配の概念図

 

 

左側がホクシン、右側がしまね夢こむぎ®（ホクシンの性質を引き継ぐもの）

 

しまね夢こむぎ®の小麦粉は、元の実用品種と比較して、生育も小麦粉の品種も遜色ありません。

 

それではこのあたりで、今日のご紹介を終えたいと思います。

皆様良い週末をお過ごしくださいませ。