看護部メッセージリレー　②空の３番地

　私達の病棟は外科系の病棟で、内科の病棟に比べると入院期間が短い傾向にあります。そのような中でもファシリティドッグの不思議な力や可能性を感じることがあります。その一部を紹介します。

　Aくんはある病気のため集中治療室に緊急入院し手術を受け、その後状態が落ち着いてから私達の病棟で入院生活を継続していました。入院を機に学校もお休みとなり思いのほか長期の入院となったこと、またいろいろな心配事があるようで、病棟に来てからはほとんど言葉を話すこともなく、笑顔も全く見たことがありません。看護師の間からは「Aくんは本当に話すことができるのかな？Aくんに寄り添いたいけど、受け入れてくれるにはそうすればいいんだろう？」と悩む毎日でした。そこで少しでも気分転換になればとアイビーに来てもらうことにしました。アイビーを見たAくんはいつも通りのポーカーフェイスでした。でもその時に見てしまったのです。あれだけ表情が硬かったAくんの右の口元がほんの少し緩んでいたことを。その後はアイビーと関わりながら看護師ともコミュニケーションがとれるようになり、本来は元気な男の子だったことが判明しました。看護師もお手上げだったAくんの気持ちを一瞬でほぐしてしまうアイビーの力を目の当たりにした出来事でした。

　医療者だけでは解決できない不思議な力をもったファシリティドッグは、小児病院にとって大切な仲間です。寄付をしていただいた方に感謝の気持ちをお伝えするとともに引き続き子ども達の笑顔のためにご協力をお願いします。