【あと2日！】宝暦治水史跡のご紹介

　全国的に冷え込む日々が続きますが、皆様いかがお過ごしでしょうか。12月25日のプロジェクト支援募集終了を前に、 ネクストゴールまで達成することができました。心より感謝申し上げます。そして残りの2日間も、最後まで応援していただけたら幸いです。

　今回は、江戸中期、幕府の行った大規模な河川工事事業である宝暦治水の史跡をご紹介します。

　宝暦治水事業が木曽三川から遠く離れた薩摩藩に命じられたことは知られています。このとき現地で薩摩藩とともにその任務を負ったのは、木曽三川の川通御用を担っていた高木三家や美濃郡代らでした。高木家文書には、宝暦治水前後の川の様子や、宝暦治水に関わる史料が多く含まれています。工事が行われたのは岐阜県西部から三重県北部にまたがる木曽三川の下流域でした。厳しい環境のもと工事を進める中で、病や事故で命を落とす関係者も多くいたそうです。地元の人々は、工事に携わった人たちへの感謝の念から、近隣のお寺に墓所を作り、今日まで供養を続けています。 

  　写真はそのひとつ、三重県桑名市の常音寺です。揖斐川の支流である多度川や、多度大社の参道から近く、静かな場所にあります。江戸期には多度川の水量も多く、山の麓ともいえるこの近くまで船で往来していたそうですから驚きです。こちらのお寺は宝暦治水工事に関わった5名の方の菩提寺になっています。

　ご住職によると、薩摩藩士に宿を提供するなどしていた家に伝わっていた古文書は、明治初期に全焼してしまい残っていないそうです。それでも、近隣の人々は、その後も今日まで故人の供養と歴史の伝承に勤しみ、宝暦治水の偉業への敬意を忘れずに代々語り伝え、大切にしてきました。

　お話を伺って、川とともに生きてきた私たちの歴史を次の世代へ伝えていくために、治水関係史料を含む高木家文書をより多くの人に知ってもらい、減災や歴史研究に役立ててもらいたいという気持ちを新たにしました。