【応援メッセージご紹介10】大阪大学名誉教授　堀池寛氏

皆さんこんにちは。岡です。

 

本日は、大阪大学名誉教授 堀池寛先生からのメッセージをご紹介いたします。

堀池先生は、夫 隆司の学生時代（大阪大学大学院工学研究科電子情報エネルギー工学専攻）の恩師で、

現在一般社団法人生産技術振興協会の理事等も務めておられます。

 

 

私が阪大大学院に入学したのも、

事故のことを学びたいが、何学部何学科で学べばいいのかも分からない。

夫が６年過ごした阪大にはそんな分野があるのだろうか？

とホームページを検索したことがきっかけでした。

 

 

 

 

大阪大学名誉教授

堀池 寛 先生

 

 

 

 

岡　隆司君について

 

4月の中旬を過ぎて初夏の陽気になるといつも思いだす。

彼は非常に元気で気風の良い学生だった。
大阪大学には遠い大和郡山から通ってきていたが、いま机についていたかと思うと　もういない、機敏でエネルギッシュな学生だった。

快活でスポーツマン、誰とも仲良くなれる人柄でもあった。

 

当時、研究室ではグループでイオンビームの研究をしており、

その仕事で修士課程を修了し、大企業で半導体の仕事に就いた。

あの頃は周りに活動的で前向きな学生が何人もいて、皆で協力して研究に励んでいた。

同じく奈良にゆかりのある奥様とは会社の同期として知りあわれ幸福な家庭を築いておられた。
 

彼は何事にも極めて積極的でそれが仇となった。
連休も近い日曜に河岸をジョギング中に、子供達の水の事故に遭遇し、彼は河へ飛び込んだ。

子ども達は助けたが本人は帰ってこられなかった。
人は誰でもありふれた日常の中に思わぬ緊急事態に遭遇する可能性がある。

彼は河岸をジョギングしながら事故を見たらどうするか、と日頃から考えていたと思う。

そしてはたして緊急場面に遭遇し、究極の選択に追い込まれていったのではないか。

子どもを救うために河に飛び込むのは大きな勇気がいるが、自分を犠牲にしないギリギリ限界で人助けを止めることは、更に大きな勇断がいる。

 

 

彼の中でその葛藤があったのかを想像すると、そうではないだろう、

彼は日頃から考えていたその時の想定の通りに躊躇なく飛び込んで行った。

残念だが、彼には事態を見過ごすことができなかった。

 

 

では複数の子どもが河でおぼれた時、一体どうすればよいのだろう、取り返しのつかない思考は堂々巡りだ。

そして言えることは、溺れてくれるな子ども達よ、危険を危険と判断する賢さを身につけよ！

そして我々大人は　子ども達を常に見守り、危険を回避させることを肝に銘じるしかない。

この行動が万一の事態に陥らないか、もし陥ったらどうするのか、ということを日頃から自問自答していることが大事ではないだろうか。

国の屋台骨になりうる将来性のある人間がみすみす命を落とさないように。

 

 

彼の亡き後、奥様は　彼の母校の大阪大学大学院で勉強する道を選ばれた。

そしてその研究を子ども達を危険から守る活動に繋げておられる。

岡君の大胆な行動力が奥様に繋がっていることに、悲しみの中から光を見出している。