『野ざらしの決闘』期間限定配信！

 

もともと展覧会で見せようと考えていた映像作品《野ざらしの決闘》を、vimeoにて期間限定で配信（¥544）します。コロナ禍で反射的に制作した不要不急の「無観客試合」です。なお、売上は全て「喫茶野ざらし」の運営費に充てさせて頂きます。お家時間の気晴らしにぜひ！（中島）

 

https://vimeo.com/406702935

 

この映像は、2020年3月11日に撮影した作品です。緊急事態宣言が出され、外出自粛が徹底されるようになる直前でしたが、社会的には既に「コロナ禍」と言える状況が広がっていました。アート業界では美術館や博物館が閉鎖され、様々なアートフェアや展覧会が延期・中止になる中で、反射的なリアクションとして制作したものになります。

 

特にエンターテイメント産業において、2020年2月頃からライブやイベントといった興行を自主的に中止し、映像配信を中心とした「無観客ライブ」「無観客イベント」に移行する例が多く見られました。当然、それにはプロレスの「無観客試合」も含まれます。

 

「無観客試合」の源流にあるのは、1987年10月4日に巌流島で行われたアントニオ猪木とマサ斎藤による「巌流島の決闘」です。当時、精神的な危機を迎えていた猪木は、「武蔵と小次郎の戦い」に倣って決闘を行うことで、それを乗り越えようとしました。時間無制限、ノーレフェリー、ノールール、そして無観客で実施された、私見では極めてファインアート的なその戦いは、2時間5分14秒に及ぶ死闘の末に猪木がマサを絞め落とし勝利を掴みました。

 

そうした原点と現状を踏まえ、自身の運営する墨田区吾妻橋のオルタナティブスペース「喫茶野ざらし」で敢行したのが、この《野ざらしの決闘》です。結果、レスラー2名、カメラマン1名のみで2時間以上に渡って繰り広げる、極めて不要不急の「無観客試合」となりました。

 

当初はこの作品を、「喫茶野ざらし」で展示することを考えていました。2020年1月にオープンさせたばかりの「喫茶野ざらし」は、カフェとして営業しつつ、展覧会やトークイベント、レクチャーなどを行っていく場として設計されています。しかし、現在の社会状況の元でそれらを実施できるような見通しは依然として立ちません。今のところカフェは平日昼間のみの営業を続けていますが、来客もほとんどなく、経営面で大きな打撃を受けています。

 

そこで、今回は《野ざらしの決闘》をvimeoにて、期間限定で有料配信しようと決断しました。500円は「喫茶野ざらし」のコーヒー約1杯分の値段です。未来の文化的土壌に向けて耕していこうという、その矢先でのコロナショックでした。この映像での収益は全て、「喫茶野ざらし」の運営費に充てさせていただきます。

 

また、「喫茶野ざらし」はクラウドファウンディングにも挑戦しています。コロナ危機から始めたわけではありませんが、結果的に今の場を維持していく上で達成が不可欠になってしまいました。ページを見て共感していただけましたら、お力を貸していただけないでしょうか。

 

※詳細はこちら

https://readyfor.jp/projects/cafe-nozarashi

 

もちろん、作品はスペースとは別個にあります。もしこの映像をご覧いただければ、私としては幸いです。よろしくお願いいたします。

 

中島晴矢（アーティスト）