
マンスリーサポーター
目標人数 30人
- 募集終了日
- 2022年6月30日
スクールバスから避難車へ: 戦火の中で生活を再建するイホルさんの旅
62歳のイホルさんは、ドネツク州の小さな村ゾリャでスクールバスの運転手としてずっと働いていました。子どもたちを学校まで送る彼の仕事は、子どもたちの幸せな日常生活の一部でした。変化は少ないが安定した生活で、それなりに心配事はありましたが、そこに戦争はありませんでした。しかしある朝、彼の人生は大きく変わってしまいました。
180度変わってしまった人生

「最初はとても怖かったですね。その頃私は毎朝5時に健康状態を確認する検査を受けに行っていました。子どもたちと接する仕事でしたので、この検査を受けなければならなかったからです。
その日は4時に上司から電話があり、『家をでるな!何か考えろ、でも家をでるな!みんな混乱している』と言われました。最初は、『どうして外に出てはいけないんだろう?
子供たちはどうやって私を待つのだろう?』と思っていましたが、外に出ると爆発の閃光が見え、その時何が起きているのかわかったのです」
イホルさんは村が最初に砲撃を受けた2022年2月24日の朝を振り返えります。
彼の人生は数秒で180度変わってしまいました。かつて子どもたちを学校に送り届けていたバスは、今は人々を避難させ、人道支援を届けるために使われています。
「私は仕事を続けようとしました。そうでなければ気が狂ってしまうかもしれないと思ったからです。」
しかし、3月上旬に義理の娘が、そして続けて妻が家を出ていきました。イホルさんは一人で残されたのです。
「ある日、ドニプロから戻ってきたら、家がなくなっていました」
とイホルさんは大きくため息をつきました。
車は全焼し、お金も書類も財産も、すべてが炎の中に消えたのです。
「残ったのは、その時着ていた服だけでした」
コスティアンティニフカの友人たちが彼に住む場所を提供してくれました。しかし、他人のアパートでの生活は快適ではありませんでした。自分は不要な人間だという思いが彼に重くのしかかっていました。
「私は全てをあきらめていました」
と彼は言います。
しかし、助けてくれる団体がありました。
戦争下での生活
「NGOのアヴァリスト(CAREのパートナー団体)が、支援申請を手伝ってくれたのです。この支援は自宅から逃げ出さなければならなかったり、家を出なければならなかったりした人たちへの支援でした。私は着るものがなかったので、この支援で服を支給してもらいました。彼らは年金の手配も始めてくれましたが、わたしには勤務実績がないのでまだ難しい状況です」
時間は過ぎ、戦争下での生活は楽にはなりませんが、イホルさんはどうにか暮らしていけるよう頑張っています。彼の一日は、砲撃で窓が割れたバスの修理に費やされています。
「もう4カ月間も修理をしています。2台のバスを生き返らせました」
仕事が終わるとイホルさんは市場へ行き、食料を買って夕食の支度をします(彼は牛肉が一番好きです)。夕方になると、外出禁止令が出る前に友人たちに電話をかけ、みんなが生きているかどうかを確認するのが日課です。
「彼らの無事を確認することは、僕にとってとても大切なことなんだ」
イホルは、人生で最も怖かった瞬間は、自分には何もないと悟ったときだったと言います。
「妻はポルトガルのどこかにいます。彼女はメッセンジャーのアプリでメッセージを送ってくれるのですが、私はその使い方を知りませんので連絡がとれません。私は電話の電源の入れ方しか知らないんです」
彼にとっても、他の多くの高齢者にとっても、最近のテクノロジーは想像の域さえも超えてしまっているのです。
これもまた、戦争の渦中にいる高齢者たちが直面する問題です。一人残された時には命を救うことができるテクノロジーも、その使い方を知らないがために全く役に立たないことが多いのです。
イホルさんにとってこの問題は、愛する人々と連絡を取り合うことができないというだけでなく、急速に変化する世界の中で自分は時代に取り残されているという気持ちになってしまうことを意味しています。最前線の都市に残った人々のほとんどは高齢者であり、デジタルでのサービスを利用できないことが、戦時下での生活を送る上で大きな障害となっているのです。
しかし、彼の生活には明るい気分になる瞬間もあります。彼は働きワンルームのアパートを借りているのですが、このことが、前を向く力になっているのです。
「今は気分がいいですね。自分には何かができる、誰かに必要とされているという感覚が戻ってきました」
ウクライナ人なら誰もが抱いている夢
先の見えない状況下では、一日一日を生き延びていく生活です。
それでも彼は生きたいという強い気持ちをもっています。
「起こることは起こる。でも、生きたいんだ」
彼の夢はシンプルで、今のウクライナ人なら誰もが抱いているものです。
それは、戦争が終わること。
新しい土地で新しい生活を始めるのは容易ではないことをイホルさんは知っています。だから、できる限り働き、バスを修理し、人を助けているのです。
「私は一日一日を生きていますが、少なくとも人間であることを実感しています」
とイホルさんは静かに付け加えました。
そして、今や戦争から逃れてきた人々の救いの象徴となった自分のバスで、
再び子どもたちの笑い声が聞こえる日を夢見ています。
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