飼い主が亡くなり取り残されていた猫「だんち」

2024年夏・大阪市某所。とある団地にて一人暮らしの高齢者が亡くなりました。

身寄りがないのか誰にも気付かれず、外に漏れる臭いで住人が不審に思い確認をしたところ死後10日程経っていた様子。その後警察により現場検証をしていると猫がいることが判明。それが「だんち」でした。

団地の管理会社より電話がありました。

団地の規約としては猫を外に放たないといけないが、警察から保護施設にまず聞いてみるように言われたとのこと。亡くなった方の携帯電話の中に、CATSWELCAREの名前があったので電話に至ったようです。生前に保護猫施設を調べていたのでしょうか。 

猫は風呂場に逃げ込み隠れていて1週間以上飲まず食わず。真夏の暑さの中、エアコンもついておらず今後つけてやることもできない。2日後に特殊清掃が入るがそのタイミングで部屋は完全密閉し立ち入りできなくなるため、それまでに保護してくれないか、という依頼でした。

預かりボランティアの空きがない中ですぐに保護をしなければいけない状況となった、いわゆる緊急保護案件。ひとまず事務所に入れてスタッフでお世話をすることにしました。今は警察しか中に入れないとのことで、特殊清掃会社が入るのと同時に捕獲に向かうことになりました。

エレベーターを出たところから立ち込める独特の臭い。現場のドアを開けるとさらに強烈な臭いが襲いました。管理会社の方が、私達が部屋に入るのは可哀想だと気遣って下さり、猫を捕まえてくれました。 とてもおとなしくジッとしていたそうです。

事務所についてすぐにお風呂。がっしりとした大きな顔に見合っていない細い身体。飼い主さんが亡くなられる直前まではごはんをもらえていたの？どんな思いでこの10日間を過ごしていたのかと思うと胸が締め付けられました。

体重4.2kg、未去勢のオス猫。

ごはんは徐々に食べるようになりましたが、覇気がなく、なんせおしっこがでない…

病院を受診すると、尿が溜まりすぎているとのこと。膀胱炎になる可能性があるので圧迫して出してもらいました。1分半程出続けたおしっこ。どんだけ溜めこんでいたの・・・怖くて淋しくて辛かったね。

すっかり元気になった頃、人馴れ抜群で甘えん坊のだんちを家族に迎えたいとお声がけをいただきました。悲しい思いをしましたが、今は新しい家族のもとでたくさん愛情を受け幸せに暮らしています。