メンバーより皆様へ#8：こびナビ メンバー 内田 舞

小児精神科医、ハーバード大学医学部助教授、マサチューセッツ総合病院小児うつ病センター長
2007年北海道大学医学部卒、イェール大学精神科研修、ハーバード大学小児精神科研修を経て、2013年より現職。 

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アメリカ東海岸のボストンで小児精神科医として働いております内田舞です。

 

皆さん、怒涛の一年を経験されたかと思います。
 
アメリカのコロナ対策に関して、トランプ政権下の政府と一部メディアの「科学の無視」はひどいものでした。

 

「コロナは存在しない」「マスクで我々の口を封じようとしている権力者には屈しない」と感情に訴える政治的なメッセージが混ざった非科学的な情報がソーシャルメディアなどで拡散され、多くの方が間違った情報を元に煽られた「なんとなく」の感覚に従い、堂々とソーシャルディスタンスを取らない、マスクを拒否する、大勢で会食をするといった行動に出られました。

 

しかしウイルスは、人々の感情や信仰や政治的思想など関係なく、感染していくものです。

 

こうしてアメリカは科学を無視することで、病院内は地獄絵図と化し、全人口の1000人に1人がコロナの影響で亡くなった結果になりました。
 
私はこのようなコロナ禍で医師として働き、また3人目の子どもを授かりました。

 

妊婦として、もし感染してしまったらどれだけ苦しいことだろう...

どれだけお腹の中の赤ちゃんに負担がかかるだろう...

夫や上の二人の息子たちはどんな思いをしてしまうだろう...。

 

そう考えながらの10か月間でした。

 

また、アメリカの学校は通常学級に戻っておらず（2020年3月より未だにほとんどの公立学校は丸々1年間リモートのみの授業）、私の子どもたちはいつか普通の学校生活や習い事を経験できるだろうか、日本の両親は孫に会えるだろうか、そしてパンデミック中リソースが限られた育児と仕事に挟まれた苦しい生活に私自身はいつまで耐えられるだろうか、、、と感じておりました。
 
ワクチンの安全性や有効性を示す治験の結果や、妊娠には影響を与え難いと考えられるmRNAワクチンの仕組みを吟味して、妊娠34週だった1月初旬にワクチンを接種したときには、安堵の気持ちでいっぱいでした。

 

何十年間ものｍRNA研究が予防効果と安全性を有するワクチン開発につながったことへの感動、また最前でコロナ治療をしてくださった医療者の皆さまへの感謝と共に、

 

「今年は日本に帰れるかもしれない。両親に新しく生まれる息子を見せれるかもしれない。普通の生活に戻れるかもしれない。」

 

という希望が胸を占めました。
 
科学を無視した結果、悲惨な状況になったアメリカで、妊娠生活を終えた私としては、愛する母国・日本はどうか科学に従った判断ができる国であってほしいと願っております。

 

「なんとなく」の感覚に煽られるだけでなく科学に基づく正しい情報を得て、自分や家族を守るための判断をしてほしい。
 
新型コロナワクチンに関する正確な情報を発信する「こびナビ」の活動を全力でサポートさせていただきます