
支援総額
目標金額 3,000,000円
- 支援者
- 456人
- 募集終了日
- 2024年3月15日
NTTコミュニケーション科学基礎研究所研究員渡邊渡邊氏がアドバイザーに就任/こどものウェルビーイング
「子どものウェルビーイング」内在的価値の時代を生きる子どもたちへ
この度、ダンチルプロジェクトのアドバイザーを務めてくださるのは、NTTコミュニケーション科学基礎研究所、研究員の渡邊淳司さんです。今回は、子どものウェルビーイングについて研究されている渡邊さんから見る、これからの時代を生きる子どもと対話の関係や、ダンチルの展望についてお聞きしました。
「しあわせ」は、目に見えるものだけでははかれなくなる/子どもを取り巻く時代背景
━━渡邊さんはなぜ、ウェルビーイングの研究をされているのでしょうか?また、なぜ「子ども」のウェルビーイングに取り組んでいるのでしょうか?
渡邊さん:僕がウェルビーイングの研究に取り組む理由のひとつは、現代の価値の転換の中で、ウェルビーイングがその中心となる概念だと思ったからです。
━━「価値の転換」とは?
渡邊さん:価値がお金という単一の物差しで測られた「経済的価値」の時代から、その人その人の存在自体や内的な状態を大事にする「内在的価値」の時代への変化ということですね。もう少し詳しくお話しするために、日本の人口の変化についてもお伝えさせてください。
下の図は日本の人口動態なのですが、1900年代に急激に人口が増加、2004年をピークに、また急激に減少していることが分かると思います。
━━こんなに急激な変化が……。
渡邊さん:人口が増えている間は経済が成長し、その成長を多くの人が享受できて、お金という一つの基準でも豊かになることができました。一方で、人口が減ると経済が縮小していくのが必然です。すると、多くの人は「経済以外のもの」にも価値を見出したり、何が豊かさなのかを見直す必要がでてきた。つまり、目に見えるものだけで幸せをはかることが時代に合わなくなってきているんです。
━━物質的な豊かさがいらないという訳ではなく、一人一人の心の豊かさにも目を向ける必要があるということですね?
渡邊さん:はい。加えて、AIやデジタル技術の進化が著しい昨今、これまで存在しない新しい仕事が生まれたり、想定外の課題に直面することも多くなります。そこでは、多様な人々と協働する必要があり、お互いの「ウェルビーイング(=よく生きるあり方)」を受け入れ合い、活かしあっていくチカラが大事になるんです。
━━なるほど…。物に溢れた時代、不確実な社会を生きるためには、単に物質的な豊かさや、自分だけの主体性を育むだけではなくて、いろんな価値観を尊重し合いつつ、周りの主体性を考える力が必要だと。
渡邊さん:まさにそうですね。友達や家族、コミュニティや地域、社会全体について考えられることは、結果的に自分のウェルビーイングの持続にもつながっていくんです。
ただ、それはいきなり身につくものではないんです。子どもの頃から「ウェルビーイングに生きること」を頭で理解し、同時に自身の暮らしの中で身体的に学んでいく必要がある。なので、子どもの頃から自分や他者のウェルビーイングに大切な価値観に目を向ける機会や、それを感じ、知るための対話を行う場がもっとあったらよいと思うんです。
━━今回、対話にもつながるコミュニケーションやウェルビーイングの研究・活動を長年に渡りされている渡邊さんに、プロジェクトのアドバイザーとしてのご協力を依頼しました。ダンチルのどういったところに注目してお引き受けくださったのでしょうか?
渡邊さん:僕にとって、対話は自身の研究と関係深いものでしたし、それを社会の中でどう位置づけるか、どのように育むかが大事だと捉えていたので、考えていることに近しい部分があるかもしれないと思ったからですね。
対話の大切さは、理屈ではなく体験しないとなかなか人に伝わらない。現在の状態だけでなく、それぞれの人が生きてきた過程を反映するウェルビーイングという概念は、誰もにとっても自分事であり、同時に正解がありません。本来、それを理解し合うのは「対話」をもってしかないのですが、先ほどお話した通り、対話の大切さはなかなか伝わり難いものだなと感じていて。
そこで、ウェルビーイングを数値化以外ではかることができないか考えたんです。
━━数値以外で、ですか?
はかる=大事にしたい価値を「数値化」ではなく「可視化」する
━━ウェルビーイングという目には見えないものを、どうやって「はかる」ことができるのか気になります!
渡邊さん:これまで、ウェルビーイングは「自分の人生の満足度」といったものを点数付けすることで測られてきました。
World Happiness Reportという報告書が毎年出されていますが、そこでは、各国が人生満足度の点数順に並んでいます。(ちなみに2023年のレポートでは、日本は47位。)もちろん、一つの基準で状態を把握するためには、数値はとても便利なものです。ただ一方で、人のあり方や幸せは、数値化して、どちらが優れていると比べるものではないとも言えます。
例えばですが、仮に2人の人が、今の自分の幸せを10点満点中8点だとした場合、その8点も主観であって全く同じ感覚ではないはずなんですよ。
━━確かに。それに、主観で見た時の8点でも、集団のなかで他の人と比べた時「あれ?8だと思ってたけど、あなたの考えなら私10かも?」なんてこともあり得ますよね?幸せに点数をつけるのって、すごく難しい気がしてきました…。
渡邊さん:そうなんです。じゃあどうするかというと、数値という一つの物差しで価値づけせずに、その要因や関係性を見える化する。言い換えると、よいわるいの点数付けはしないけれど、それについて議論はできるようにするんですね。
「自分の幸せ度は何点か?」と価値判断するのではなく、「自分が幸せを感じる要因はなにか?」を見えるようにして共有する。それが、はかる=点数化ではなく、はかる=可視化ということだと思っています。そこで、「ウェルビーイングをはかる」ためのツールとして「私たちのウェルビーイングカード」というものを開発しました。
※カードは2024年2月16日に発売されます。「わたしたちのウェルビーイングカード ―働く、学ぶ、暮らす場で、楽しくチームが生まれてしまう?!」
渡邊さん:このカードには、「人がウェルビーイングを感じる時の要因」が書かれています。カテゴリとしては、自分に関すること(I)、親しい人との関係性(WE)、社会に対する関わり(SOCIETY)、もう少し大きな地球や世界との関わり(UNIVERSE)、という4つですね。
このカードを使って自分のウェルビーイングの要因を紹介し合うと、お互いの大切なものが可視化されて対話しやすいし、その背景にあるエピソードも自然に引き出されることで理解しやすくなる。さらに、「“私は”こう思う」の視点だけだったところに「“わたしたちは”どうしたいか」といった視点を考えることができるようにもなるんです。
実際、中学校の道徳の授業でこのカードを使ったり、学級活動などで「あなたが今週大事にしたことは何?」と話したり、教育の場でも少しずつ取り入れられはじめています。
━━感情を言語化するのは難しくても、カードがそれをアシストしてくれることで伝えやすくも、伝わりやすくもなりますね。それに、日頃から相手が大切にしている価値観を知る機会があることで安心してコミュニケーションが取れそう!
渡邊さん:そうなんです。何か問題があった時、相手が何を大事にしているか分からないことが誤解を生んだり、不安になったりする可能性がありますよね。でも、「この人はこの価値観は譲れない」と分かっていると「じゃあこうしたらよいんじゃないかな」って解像度高く解決案を考えられるんです。
”本来見えない”価値観や感情を扱うチカラを育む
━━ウェルビーイングを「はかる」って数字で点数をつけるイメージでしたが、何かの物差しではない可視化するというはかり方が素敵だなぁと思いました。
渡邊さん:点数化すると比較ができるので、結局よしわるしの評価がついてしまいます。可視化は、比べるのではなく見えるように並べて観察する。
この“見えない”価値観や感情とどう向き合うのか、どう他者とのコミュニケーションの中で扱っていくのか、そのスキルを幼少期から育むことができると、年齢を重ねていくごとに、自分のことだけではなく、クラスのこと、会社のこと、社会のことを考えられるようになるのではないかと思うんです。
━━なるほど。ちなみに今年、ダンチルは「写真×対話」やダンチルフェスといったイベントを通して、自分の内側にある様々な感情に気付き表現し、感情を感じきる体験を届けようとしています。参加者には未就学のお子さんもみえますが、一見対話が難しく感じる年齢に対してはどういったアプローチができるでしょうか?
渡邊さん:「写真×対話」のワークショップでは、写真という非言語を通じて自分のモノの見方を可視化することができますよね。例えば、そのときにもうひとつ「感情」についての可視化が伴ったら面白いのではと思いました。
僕はこれまで「感性感情表現イラスト」を使った研究に携わっていて、このイラストは、自分の感情に気がつき、対話する上で助けになるのではないかと思っています。
写真を見ながら、「じゃあ、この写真を撮っているとき、心にはどんな自分がいた?」と感情を振り返る。感情や無意識って「もっとも身近な他人」だと思っていて、「感情に目を向ける体験」が積み重なることで、その身近な他人と向き合うチカラが育まれていくかもしれません。
━━「どうだった?」「楽しかった」という会話ではなく、メタファー(直喩)を間にいれることで「こんな感じだった!」と、自分のなかにあった感情をより認識しやすくなるんですね。
渡邊さん:そうですね。論文の中でも述べてますが、その感情イラストを時系列で並べると、まるで旅のように、その体験を通して変化する感情だったり、自分が多様な感情を持つことを体感できます。まさにDANROが届けようとしている「感情を感じきる」体験ができるのではないでしょうか。
ダンチルでの体験・研究の先にあるもの
━━渡邊さんは、この体験の記録を集めた先にどんなことができると考えていますか?
渡邊さん:先程、ウェルビーイングに「よいわるい」はないと言いましたが、それぞれの子どもの価値観や感情を知ることは、その子どもやコミュニティに起こっている課題に対するヒントを見出すことができます。
例えば、クラスになじめない子どもがいたとして、その時先生はどのようにその子どもと接していけばよいのか、「わたしたちのウェルビーイングカード」から選んだ要因がヒントになったり。本人だけでは解決できない問題の解決策が見つけられる可能性がつくれると思うんです。
もちろん、DANRO PLACEといった活動の中でも、子どもの望む体験を届ける手助けになるかもしれません。
━━ダンチルの「対話」の場で起こっていることを可視化してはかり、研究していくことは、その場の質の向上はもちろん、その場にいる人やその先の社会へ良い循環を生み出していきそう……!
渡邊さん:そうですね。僕がアドバイザーとして伴走させて頂くにあたり、対話の価値や、感情を感じ切る体験といった価値がしっかりと届けられればと思いますし、それが結果的に未来の子どもたちのためだったり、今より少し世界がよくなることを後押しするチカラになれたら嬉しいですね。
━━渡邊さんの知見をお借りしつつ、全国の、世界の子ども達にDANRO PLACEを届けて行きたいと思います。これからどうぞよろしくお願い致します!
渡邊 淳司 | Junji Watanabe
日本電信電話株式会社(NTT)上席特別研究員
人間の触覚コミュニケーションに関する研究や、ウェルビーイングに生きられる社会を実現する方法論について探究している。主著に『情報を生み出す触覚の知性』(2014年 化学同人 毎日出版文化賞<自然科学部門>受賞)、『ウェルビーイングの設計論』(監訳 2017年 ビー・エヌ・エヌ)、『情報環世界』(共著 2019年 NTT出版)、『見えないスポーツ図鑑』(共著 2020年 晶文社)、『わたしたちのウェルビーイングをつくりあうために』(監修、共編著2020年 ビー・エヌ・エヌ)、『ウェルビーイングのつくりかた』(共著2023年 ビー・エヌ・エヌ)などがある。/ HPはこちらから
リターン
3,500円+システム利用料

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※イベント情報先行案内させていただきます
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※イベント参加方法(申込方法)・詳細については、登録時のメールアドレスにお送りさせて頂きます。
※発送予定時期:支援完了と同時にリターンの参加権利が付与されます。
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- 250
- 在庫数
- 制限なし
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