メッセージリレー第20回「自分達だけで本気の発表会」神谷菜月

 

バレエ、HIP-HOP、Lock、、、ダンスには様々な種類がありますが、ダンスをすることの醍醐味はなんといっても「発表会」！

　バレエやピアノの「発表会」のように、私たちにとっての「発表会」＝「FreeDダンス公演」は、一年に一度の集大成です。発表会という本番に向けて練習すること、その練習が実を結ぶ本番での達成感、多くのお客さんの前で自分を表現するという経験など、発表会という過程があるからこそ、私たちFreeDは成長できています。１回の本番は100回の練習以上の価値がある、というプロダンサーもいるくらいです。ダンスの技術の向上はもちろん、人間的にも大きく成長できる特別な機会になっていると感じています。

 

　そして私たちFreeDは、この「発表会」を自分たちだけで作り上げています。ダンスの振り付けはもちろん、ストーリー構成、衣装、舞台選びやセッティング、自分たちでできることは何でもします。

 しかし、舞台を借りること、一部の専門的作業や、衣装の材料費などは、お客さまにみせられる「発表会」にするにはどうしてもお金をかけなくてはいけなくなってしまいます。

 

　小さい頃にバレエやピアノを習っていた方や、お子さんが習っていた方などはよくご存知かと思いますが、１回の出演料は高額になる場合が多く、まとまった資金が必要になります。バレエやダンスの発表会は参加するのに、習い事のお教室の場合は、ひとりあたり10万円前後のお金が必要です。まとまった金額になるので、発表会用の積み立てをしているお教室もあるほどです。

 

【なぜそんなにお金が必要なのか？】

　まずダンスの発表会で大まかに必要になるお金は、劇場代・衣装代・スタッフさん代・設営撤去・美術・照明・音響・機材代などです。

　この中で特に大きな出費は劇場のレンタル費用です。基本的に劇場が大きく綺麗であれば、費用は高くなります。劇場にもよりますが、1日で30万円前後からが相場と言えるでしょうか。もちろんこれより費用が高い劇場はたくさんあります。しかしこの劇場選びはとても大変です。値段だけで決めるわけにはいかず、安全性や、行きやすい場所であること、皆様が観に来やすい場所であることなどを考慮しているからです。また楽屋からステージまでの道は危険ではないか、楽屋の数は足りているか、など多くの条件を満たした劇場を選んでいます。しかも良い劇場が見つかったとしても、予約がとれないこともよくあります。そこで人気の劇場を用意するために約１年前から準備をしています。

　発表会本番の１年前から、本番日を決定させて、その準備の日にちも劇場を抑えるのです。美術や照明の搬入も考えると、搬入・リハーサル・本番と劇場をキープしますので、本番日プラス１～２日は劇場をレンタルすることになります。その分も劇場代がかかります、、。

　これは学生にとってはあまりに大きな出費になってしまうのです、、。 チケット・フライヤーをつくるのにもデザイン料や印刷代がかかっています。

 

　ダンスの発表会をつくりあげるには、このようにとてつもない時間とお金がかかります。

　私たちはまだ大学生。大きな収入や貯蓄はありません。学業もしなければならない中で、練習すればするほど発表会の完成度は上がりますが、アルバイトをする時間がなくなり自分たちだけで費用が捻出できなくなっていく。こんな致命的ジレンマを抱えています。

　一部の私立ダンスサークルでは、習い事の「月謝」に当たる「サークル活動費」をほとんど親に負担してもらい、「発表会」にまわすところもあるようです。しかしFreeDは国立大学に順ずるダンスサークルです。たくさんダンス演目に出るとお金がかかるので、諦めてしまう人も少なからずいます。

　おそらく人生最後であろう貴重な経験となる発表会。満足するまで踊りきれないのは本当に悔しいと思います。

　そして、何よりも、もし親に負担してもらうようでは、本当に「自分たちで作り上げた発表会」と言えるでしょうか。私は、自分たちでうまく費用をまかなっていけるのが、自立した大学生、ひいては自立した大人になるためのステップだと思っています。私たちが他にも何かできることはないかと必死に考え、クラウドファンディング、という形式にたどり着きました。

　どうか全国のお父さん、お母さん、皆様。私たちFreeDの自立をお手伝いしていただけないでしょうか。未熟な大学生の巣立ちに支援していただけないでしょうか。何卒お力添えを宜しくお願い致します。

 

FreeD 17期 神谷菜月