裁判は大詰め、そして決定は…

昨日１２月５日は、袴田巖さんの再審を求める裁判で大きな動きがありました。

 

すでに先週には、弁護側・検察側の双方から、東京高裁に「最終意見書」が提出されていましたが、昨日はこの意見書に基づき、弁護側が意見陳述を行いました。

 

法廷でのスライドを使ったプレゼン形式で、今回の東京高裁の審理では、これが弁護側からの最後の訴えとなりました。

 

▲ 東京高等裁判所（東京・霞ヶ関）

 

▲ 日本プロボクシング協会からの激励

 

裁判所に向かう直前には、袴田巖さんの支援を続ける日本プロボクシング協会の皆さまが、弁護団を激励しようと、世界チャンピオンと共に駆けつけてくれました。

 

ボクシング協会から贈呈された支援バッジを胸に、弁護団は裁判所へと向かいました。

 

▲ 贈呈されたバッジを付けた弁護団と袴田秀子さん

 

１３時半から開かれた法廷では、袴田さんの姉の秀子さんにも意見陳述の機会が与えられ、「巖に真の自由を与えてください。」と裁判官に直接、訴えることができたということです。

 

弁護団によると、この日は裁判所から今後のスケジュールが示され、年度末の２０２３年３月中には、東京高裁として袴田さんの再審請求に対する決定を出すという意向が明らかになりました。

 

▲ 意見陳述の後、記者会見する弁護団

 

弁護団に対して検察側は最終意見書の中で、袴田さんを拘置所に「再収監すべき」という主張をしています。

 

明日をも知れぬ死刑執行の恐怖に怯え続けた日々に、袴田さんを逆戻りさせるなど、絶対にあってはならないことです。裁判所には、きちんと事件に向き合い、誠実な決定をお願いしたいと心から願うばかりです。

 

 

弁護団の記者会見を見届けた後、監督の笠井はその足で、埼玉県の浦和へと向かいました。夜には、埼玉弁護士会の企画する学習会に講師として登壇させていただきました。

 

昨年にも、笠井が制作した袴田さんの短編ドキュメンタリーを上映していただいたイベントの第２回ということで、「袴田さんから学ぶ死刑廃止２」と題した市民向けの公開学習会でした。

 

 

冒頭の４０分ほどお時間をいただき、長年、私が袴田さんと関わってきた中で「死刑囚」という存在について感じたことを、私自身が撮影・編集した映像を交えながらお話させて頂くことができました。

 

もちろん、現在制作中の長編映画についても、会場の皆さまに知って頂くことができました。

 

その後、東京高裁での意見陳述を終えたばかりの袴田事件弁護団から、加藤弁護士、間弁護士のお二人が登壇され、これまでの裁判の流れ、現在の争点と今後の展望などを詳細に語ってくださいました。

 

▲ 登壇する笠井と袴田事件弁護団のお二人

 

映画制作を進めるのと共に、今後はこうした講演活動につきましても積極的に行っていきたいと思っています。

 

袴田さんをずっと見てきた私だから知り得たことがある、そして、私ならではの目線で語れることがある、改めてそう感じられる良い機会となりました。

 

皆さま、引き続き応援をよろしくお願い致します。

 

「袴田さん映画化プロジェクト」監督

笠井千晶