検察の抵抗に思うー

本日7月10日、袴田さんの裁判に向けて新たな動きがありました。私も静岡市で開かれた弁護団の記者会見に参加して来ました。

 

 

7月10日は、検察側が自分たちの「立証方針」を明らかにすると宣言していた期限です。

 

「立証方針」とは、今後開かれる袴田さんのやり直しの裁判で、検察が袴田さんへの「無罪」を求めるか？それとも、再び「死刑にすべき」と「有罪」を求めるか？その方針の事を指しています。

 

■ 検察は必死の抵抗

数日前から新聞各紙でも報道されていた通り、検察側は袴田さんへの「有罪」、つまり「死刑」を求める方針を決め、それを明らかにしました。

 

 

その上で、弁護団と検察の双方が、静岡地裁に「冒頭陳述」案を提出しました。

 

冒頭陳述とは、刑事裁判の最初に事件全体のシナリオを明らかにするものです。当然、弁護団は袴田さんが無実であるというストーリーを、そして検察は袴田さんが犯人だというストーリーを示した訳です。

 

このことからもお分かりのように、今後の再審公判では、弁護側と検察側の主張が真っ向から対立することになり、裁判の長期化は避けられません。

 

■ 袴田さんはどうなるの？無罪の行方はー

袴田さんについては、「再審開始」が確定しており、「無罪を言い渡すべき明らかな証拠がある」と裁判所によって認められています。つまり裁判がやり直される以上は、ほぼ確実に無罪判決が出される、ということに変わりはありません。

 

ただ心配されるのは、巖さんが87歳、姉の秀子さんは90歳という年齢のことです。

 

検察にどのような目論見があってのことか、定かではありませんが、結論が先延ばしにされることなく、お二人がお元気なうちに、無罪判決を聞いていただけるよう願うばかりです。

 

■ その時、秀子さんの表情は…

会見を開いた弁護団は、検察への怒りを露わにしました。

「同じ法曹として情けない。」「組織を守るためか、メンツを守るためか。」「再審開始前と同じ議論の蒸し返しだ。」など口々に批判しました。

 

 

同席した秀子さんは、「検察のことだから、とんでもないことをやるだろうとは思っていました。やるのは勝手ですが、最終的には裁判で勝つしかありませんよ。だから頑張っていきます！」と力強い口調で話されました。

 

気持ちの上でも「絶対負けない」という秀子さんの決意が感じられる言葉でした。

 

巖さんご本人には、今日の検察の決定など何も伝えないといいます。裁判のことを敢えて話題には出さないという姿勢は、巖さんが釈放された時から一貫して変わりません。

 

それは妄想の世界にいて「裁判は終わった」と話す弟への思いやりです。

 

■ 今後は…

今月7月19日に静岡地裁で、弁護団、検察、裁判所の三者が顔を揃えての協議が開かれます。その場では、今後の裁判の日程等についても話し合われるものと思います。

 

一刻も早く、再審公判が始まるよう祈りながら、映画制作を進めます。皆さまにも是非、裁判の行方を見守って頂けたらと思います。