再審公判に向けてー

昨日５月２９日。

袴田さんの弁護団、検察、裁判所による、再審公判に向けた第２回目の三者協議が行われました。場所は静岡地方裁判所です。

 

 

３月２０日の「再審開始」確定から２ヶ月ー。

あれから袴田さんの裁判はどうなっているの？という皆さんのために、その間の出来事をご報告したいと思います。

 

 

▪️裁判のやり直し「再審公判」へー

今年３月、東京高裁の「再審開始決定が確定」したことで、１９８１年から４２年間続いてきた袴田さんの再審請求は終了しました。

 

▲東京高裁での再審開始決定（２０２３年３月１３日午後２時）

 

その結果、今後は、死刑が確定した裁判をもう一度やり直す事になります。こうして開かれる「やり直しの裁判」を「再審公判」と呼びます。

 

▲静岡地方裁判所

 

今回の再審公判は、そもそも死刑判決が出された静岡地裁で行われる事になります。そのため現在は静岡地裁の裁判官のもとで、弁護団と検察官が再審公判を開くための準備として、打ち合わせ（三者協議）を始めています。

 

第１回目の三者協議は、すでに先月４月１０日に行われました。

 

▲三者協議を終えて会見する弁護団（２０２３年４月１０日）

 

そこで検察側は、再審公判での立証方針を示さず、「３ヶ月」の猶予が欲しいと求めました。やり直しの裁判で、再び袴田さんが「有罪」だと立証するかどうか？まだ言えないというのです。

 

昨日の第２回の三者協議でも検察側はまだ方針を示さず、「７月１０日までに明らかにする」というにとどまっています。

 

▲静岡地方検察庁

 

▪️再審公判はいつ？ー検察の方針がカギ「有罪？」「無罪？」

再審公判での検察側の立証方針には、２つの選択肢があります。

 

袴田さんが罪を犯したという立証（有罪立証）を行わず、「無罪」を求刑するか？それとも、改めて袴田さんの有罪を立証し、「死刑」を求刑するか？です。

 

▲裁判所に向かう弁護団と秀子さん（５月２９日）

 

検察が「無罪」を求刑し、これ以上争う姿勢を見せなければ、再審公判はごく短期間で終わるといいます。逆に検察が「有罪」を求めれば、判決が出るまでその分時間がかかることは必然です。

 

皆さまもご存知の通り、今回の東京高裁の再審開始決定に対しては、検察側が「抗告を断念」し、白旗をあげた事で再審開始が確定しています。

 

しかし検察はまだ、再審公判で争う余地を残しているということです。

 

▲東京高等検察庁

▲検察の特別抗告断念を求める支援活動（２０２３年３月）

 

▪️袴田さんの「無罪判決」の行方は…

再審開始の決定は、「無罪を言い渡すべき明らかな証拠」があると裁判所が認めた場合に出されます。つまり、再審開始が確定した時点で、袴田さんの無罪はほぼ確実になっています。

 

▲干し柿を頬張る巖さん（浜松市の自宅にて）

 

そのことを踏まえれば、たとえ検察が「有罪」を主張したとしても、袴田さんの「無罪」は揺るがないはずですが、検察は２ヶ月経っても態度を保留したままです。

 

その結果、再審公判がいつになったら開かれるのか？その予定さえ決まらない状況が続いています。

 

▲第２回三者協議を終えて会見する弁護団（５月２９日午後６時頃）

 

「無罪」を言い渡すための再審公判で、検察が「有罪」を主張するというのは、法的に可能だとはいえ、いたずらに裁判を引き延ばすということに他なりません。

 

昨日の会見では弁護団も、そのような検察の態度に怒りを露わにしていました。次回の三者協議は来月６月２０日の予定です。

 

 

検察が少しでも早く態度を明らかにすることで、一刻も早く再審の裁判が開かれ、袴田さんに「無罪判決」が言い渡されるよう願うばかりです。