
支援総額
目標金額 4,000,000円
- 支援者
- 436人
- 募集終了日
- 2022年1月24日
安藤邦廣先生インタビュー #1「茅、茅葺き屋根とは」
先日、お知らせした筑波大学大学院生による、
安藤邦廣先生(筑波大学名誉教授、日本茅葺き文化協会代表理事)へのインタビュー連載今日よりスタートします!!
記念すべき初回は「茅、茅葺き屋根とは」というテーマでお送りします。
長年、茅葺きや民家を中心に研究されてきた安藤先生に、
茅のことを丁寧にお教えいただきました!
安藤先生、改めて本企画にご協力いただきありがとうございます!

それでは以下インタビューです!お楽しみください!
――安藤先生は筑波大学の芸術専門学群で教職を取られていたのですね。どういったことをご専門にされていたのでしょうか。
安藤先生 茅葺きの民家が中心的課題だった。まあ茅葺きだけじゃなくて民家っていうものが私の研究対象だった。
民家あるいはその土間とかね。民家に特有の空間や構造、それと暮らしや生業の関係ということを、筑波大学で30年間ちょっと研究をしていたということですね。
――民家っていうところに長屋門は入ってきたりするんでしょうか。
安藤先生 民家は母屋だけじゃなくて長屋門、納屋、倉、
もっといろんな小屋があるので、その総体が民家なんですよ。
まあ、民家っていうのは「民衆の家」って書くけどさ、
民家っていうのは今の言葉でいう専用住宅ではなくて、兼用住宅、主に農家の家のことだな。
仕事場があるし仕事のものをしまったり、あるいは大事なものを貯蔵したり、その倉とか、それから人を迎えるものとか、そういうものが備わって、初めて民家ということになる訳だね。
(1950年ごろの濱田窯茅葺き長屋門)
――そもそも茅とは何であるのでしょうか。
安藤先生 植物学的に茅っていう植物はないんですよ。屋根を葺く草のことを全て「茅」って呼んでるんですよね。
中でも一番多いのはススキで、半分以上はススキだと思いますね。
「ススキを葺く」ということはめったに言わない。
それから二番目に多いのが霞ケ浦とかの水辺に生えてる「葦(ヨシ)」
だから茅といえば山のススキと水辺の葦、このふたつが「二大・茅」かな。
他に山間地域のカリヤスや、南の方でチガヤなどがある。
藁葺きっていうのは小麦藁とか、あるいは稲藁も使うんだけど、稲藁はちょっと茅としては弱いんです。
普通の茅は30年、小麦藁が10年、稲藁が3年ぐらい持つんです。まあ小麦藁は結構10年ぐらい持つんでよく使われました。
茨城、栃木、群馬は最大の小麦産地だったよね。うどん屋さんがたくさんある訳じゃない。
だから小麦藁は戦後非常に増えた。その頃の茅葺きはまあ多分80%は小麦藁だったと思うね。だから茅葺きって言わないで、「藁葺き」っていう方が多かったかもしれないね。
――現在は全国でどのくらい茅葺きの建物が残されているのですか。
安藤先生 もともとどれくらいあったかってことなんだけど、大体少なくとも数百万棟とあったと思います。
今は大体数万棟かな。だから百分の一だな。
幅があって申し訳ないけど、5万棟から10万棟ぐらいと思うよ。
鉄板かぶったものならもっとあるなあ。
でも茅が外に出た茅葺きは数万棟と思いますね。
(濱田窯敷地の航空写真 年代不明)
――茅葺きの断熱性など、茅葺き屋根の機能面はどうなのでしょうか。
安藤先生 茅葺きはねやっぱり細い草だから、1本じゃ屋根にはならないな。
だから何万本とか束にして使うことによってね、あの素晴らしい屋根を作ってる訳で、ひとつは軽いってことはとても大事だね。
沢山使ってもそんなに重みがなく、建築的に荷重にならないということがあります。
そして断熱性がいいんです。軽くて断熱性がいいってことはやっぱり屋根としては一番大事なことだね。
で撥水性があるから、雨がしみこまずに流す力があります。
茅葺き屋根のは(ほかの屋根みたいに)面材じゃないから線材だから。
こう雨がそこに入っちゃうわけだ。
茅を急角度にすると(両手で45度くらいの屋根をつくって表現)重力によって茅を伝って、
まあ水っていうのはほら表面張力があるから、水が玉のようにつたって転がっていくわけです。
そのためにはこの勾配が四十五度じゃないと。そうすることによって雨が中にしみこまずに外に排水される。

(インタビューの様子 時折、紙で屋根の形を再現していただきました)
もう一つはこういうシート(面材)じゃないことによって、通気性があるわけだ。いっぱい隙間がある訳。
人間の生活によって、例えばストーブでやかんをかけたりご飯を炊いたり、人間から出る水蒸気とか、閉め切ると結露してカビだらけになるじゃないですか。茅葺き屋根は自然に通気が起きてるから、中がほどよい通気環境になっている。
コロナで換気しなさいって言われるでしょう。窓を開けたら寒いじゃないですか。
茅葺きは厚さが40センチから50センチあるから
この間を空気が抜ける時、熱交換されてうまいこと熱を保温しながら通気を図れるっていう仕組みが自動的に行われてるっていう、すごい仕組みですね。
要するに人間が分厚いセーターを着てるのと同じだ。汗は抜けていくけど、熱は一応保温されてるじゃない。
軽さ、断熱、保温、通気性これが茅の最大の特徴。
茅葺き民家は寒いってよく言うんだけど、床が断熱してないとか、隙間があるとか、窓が障子一枚とか、いいところもガラス一枚だろう。だからどんどん冷気が来る。
屋根だけに関して言ったら、もうそれは素晴らしい。断熱と通気を兼ね備えた稀なる屋根だよね。しかももっと優れていることはその緩やかな通気性があるために、中で火が炊けるんだよ。
例えばだよ、電気が切れたり何かそういうライフラインが切れたとき考えてごらんよ。今の現代住宅の中ではそうなったら生きるのは難しい。
冷暖房もできないし、照明もできないし、トイレも使えないしご飯も炊けないでしょう。
でも茅葺き民家だったら、自分で今日はどうかなと。今日は電気使わなくてもまあまあ寒い時は火たけばいいじゃん。
その辺に幾らでも、燃料は山から取ってくればいいから木燃やせるから。
断熱して通気があれば、日本の気候風土の中で死ぬことはない。
熱中症を起こすのは、30度以上になったら気を付けなさい、だから28度くらいに最低にしてくださいよ。っていうのが今の日本でしょう。
茅葺き民家は何もしなくても30度以上にならないから、静かにしてたらオッケーだよ。マンションは何もしなかったら35度になっちゃうよ。
今の時代はすごく快適だけど何かひとつ止まったら死んじゃう。
問題が起きることの振れ幅が大きいね。
でも、茅葺き民家っていうのは今の基準からすればちょっと冬はちょっと寒い。夏はちょっと暑いんだけど死ぬことはない。
揺るがないシェルターっていうのは茅葺きのやっぱり価値だ。
例えば時代が変わって石油なくなったらどうしますか、電力会社潰れて電気線なくなったらどうしますか。
茅葺きはオッケーなんですよ。
(次回以降につづく)
いかがだったでしょうか。
茅葺きに詳しくない私たちに対しても、安藤先生はわかりやすく丁寧に質問に答えてくださいました。
次回以降も興味深い内容になっているので、また読んでいただけると嬉しいです!
最後まで読んでいただきありがとうございました。
共に茅葺き長屋門を残し、育てていきましょう!
引き続き本プロジェクトへのご支援・ご声援よろしくお願いいたします。
リターン
3,000円

返礼品なし① 【You can support even if you don't live in Japan.】
●サンクスレター・限定ムービー付き
●お名前を建物に掲示いたします
※海外在住の方でも支援できます
You can support even if you don't live in Japan.
- 申込数
- 79
- 在庫数
- 制限なし
- 発送完了予定月
- 2022年2月
5,000円

【益子で体験】濱田庄司記念益子参考館入館券 選べるドリンクとお菓子付
●濱田庄司記念益子参考館入館券(デジタル)をメールにてお送りいたします。
<濱田庄司記念益子参考館>
場所:栃木県芳賀郡益子町益子3388
営業時間:9時半から17時
休館日:月曜日(祝日の場合は翌日休館)
詳しくは濱田庄司記念益子参考館ホームページ(https://mashiko-sankokan.net/)をご確認ください。
※有効期限:2022年12月まで。
ただし2022年2月1日~18日は休館となります。
※参考館入口にて「選べるドリンクとお菓子チケット」をお渡しします。
●サンクスレター・限定ムービー付き
●お名前を建物に掲示いたします
------------------------------------------------------------
You can't choose if you live outside of Japan.
- 申込数
- 43
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