先日初診の患者さん

　先日，他院で手術された口腔がんの患者さんが「ことばが通じない」ということで来院されました．口腔内を見た野原の印象は「これは難症例…」であり，ことばはほぼ聞き取れず筆談がメインでコミュニケーションを取られていました．もともとの腫瘍（がん）が大きかったようで，ご自身の舌はほぼ切除されており奥に残っているだけでした．皮弁（＝身体の他の部位から移植する肉塊）で舌が再建されていましたが，その皮弁は空間を埋めるものであり動きません．

　9月21日にこの新着情報で紹介したPAPを装着すると，少しはマシになりそうですが…でも残っている舌が小さすぎてPAPの効果も限定的になりそうです．「PAPを作ろうか．どうしようか…」と考えながらしばらく患者さんと会話をしていると．．．100%ではないですがある程度ことばが聞き取れるようになってきました！　この野原が「聞き慣れて聞き取れるようになった」というのを，AI（人工知能）にしてもらうのが今回のプロジェクトの第一段階です．この患者さんのためにも，他の患者さんのためにも，今回のプロジェクトを（早く！）成功させよう！！と強く思った外来でした．

 

個人情報に配慮し，今回の患者さんではなく，よく似た状態の患者さんの口腔内写真です．口腔内の写真を見なれていない方はこれ以下はスルーして下さい．

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分かりにくいかもですので，残っている舌を青で，皮弁を黄色で囲んでみます．

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患者さんがおっしゃられていた「手術前は「ことば」のことなんて何も気にせずしゃべっていたけど，しゃべれなくなるってこんなに不自由だとは思わなかった．自分はしゃべることが好きで，しゃべることでストレスを解消していたんですね．しゃべれなくなって初めて気づきました．」という言葉が頭に残っています．．．

プロジェクトの遂行，がんばります！！