Vol.16 ニュルブルクリンクで遭難?（笑）

　僕はニュルブルクリンクで遭難したことがあるんです（笑）

　24時間の前哨戦である4時間耐久レースでのことだったんですが、走行中に突然電気系のトラブルが発生しリタイヤ。コースサイドの茂みに退避。レース後のレッカーサポートを待っていたんです。電気系の遮断で無線機も機能しない。ピットへの連絡ができませんでした。

　レースが終了してもレスキューが来ない。実は主催者は、僕がどこに退避させられたのかわからなかったんです。チームも所在がつかめない・・・。

　陽が暮れました。オフィシャルも撤収してしまった。ひとりポツンと山の中で途方に暮れました。

　しかたなく僕はトボトボと山を下り、県道にまで歩きました。そしてそこで親指を立ててヒッチハイクをしたのです。レーシングスーツを着て。ヘルメットを手に持って・・・。

　幸いなことに、レース観戦に来ていたクルマが救ってくれました。

「僕はレーシングドライバーです。パドックまで送って欲しい・・・」

　そうやって、戻ったんです。危うく遭難しかけたんです。いかにニュルブルクリンクが広いかを象徴していますよね。

　その次のレースでチームは、ロールケージにユーロ札を貼り付けてくれていました。

「また遭難したら、このお金で帰っておいで・・・（笑）」

　今ではいい思い出です。