勤務犬ハンドラー 竹田さんからのメッセージ

病気やケガは、子供にも大人にもすべての人にある日突然やってきます。

高度先進医療を担う当大学病院では、一刻を争う緊急性が高い治療や難治性の疾患も多く、受け入れる時間もないまま治療や入院となる患者さまも多くみられます。

 

急な人生の変更をやむなく負い、病院という無機質な空間で、病気とだけ向き合う単調な日々はその方らしさを見失わせてしまうことがあります。

 

そんな空間の中で患者さまが、かろやかに、楽しそうに、しっぽをふりふり、興味津々なまなざしで近づく一匹の姿に出会うと、目にみるみる力がみなぎり、見失っていたその人らしさが一気に戻ってくる瞬間があります。

 

 

ある方は、涙して感情を溢れさせて

ある方は、表情を取り戻し

ある方は、体を起こし手を伸ばし

ある方は、全てをうけいれ穏やかに

ある方は、周囲とｺﾐｭﾆｹｰｼｮﾝを取り始め

ある方は、生き生きとした表情で語りだし

ある方は、勇気をだして辛い治療へ向かい

 

私は奇跡みたいと皆がいう瞬間を勤務犬と幾度となく見てきました。

でも、それは奇跡ではなく、その方の本来持っている姿だと思います。

 

病気の治療には、薬や技術や最新鋭の設備も必要ですが、それ以上に本人がそこに立ち向かう、勇気や気力も必要です。私たち医療者も、患者に寄り添い病気に立ち向かえるよう支援します。しかし、患者さまの内に秘めた力をよみがえらせるまでには時間がかかります。そんな時、勤務犬なら何のハードルもなく、ともに寄り添い、ともに立ち向かい、ともに応援してくれるパートナーの役割を担うことができ、患者さまの本来もっている勇気や気力をサポートできると感じています。そこには、勤務犬が患者さまに何かをするではなく、撫でてほしいと近づく勤務犬を患者さまが満足させるというWINーWINの関係があることも知っていただきたいです。

 

 

動物と人がともに支えあい、喜び合うこの活動が継続的に続くようご支援をよろしくお願い申し上げます。

 

 

聖マリアンナ医科大学病院　勤務犬運営委員会

看護師／勤務犬ハンドラー　竹田志津代