
寄付総額
目標金額 6,000,000円
- 寄付者
- 385人
- 募集終了日
- 2020年11月30日
2024年度の活動報告

横浜市立大学の小島伸彦です。
進捗報告等について更新できておらず申し訳ございません。
前回からの1年分の活動報告をさせていただきます。
「研究の進捗」
1)フェニルアラニンとチロシンの測定
2024年度に入ってすぐに生じた問題が、チロシンの測定キットの終売です。フェニルアラニン測定キットも、納期が不安定になるという問題がでてきました。この問題を以前より交流のある日本薬科大学の山田泰弘先生に相談したところ、「私が測りましょう」と快く引き受けてくださいました。その結果、質量分析計による計測が可能となり、当然ながら精度も非常に高いものとなってデータの信頼性が高くなりました。山田先生は今後もサポートしていただけるとのことですので、大変心強く感じています。
2)精製用タグの位置や有無とヒトPAH酵素活性との関係
私たちの研究開発では、これまでヒトPAHを赤血球に封入するというアプローチをとってきました。大腸菌に組み換えヒトPAHをつくらせて、それを精製して用います。2023度から、精製の目印になる「タグ」という短いアミノ酸配列をヒトPAHのどこにつけるべきかについて検討してきました。その結果、C末(タンパク質のおしりの方)にタグをつけたものやタグを切断したものよりも、N末(タンパク質のあたま)にタグをつけた方が酵素活性が高いということが分かりました。なお、ここでの活性は赤血球に封入せずに測定しています。一方で、C末にタグがあるとタンパク質の可溶性が高まり、高濃度に調製することができました。液体肝臓の開発に使用する酵素は、可溶性が高くなおかつ活性が高いことが理想的です。酵素活性や可溶性はタンパク質の高次構造が関係します。タグの位置や有無によって高次構造が変わり、それによって酵素活性や可溶性が変化しているのかもしれません。このように、ヒトPAHの活性測定やタグによる活性の比較などができるようになってきましたが、その一方で、ヒトPAHの酵素活性は一過性にしか維持できず、一定量のフェニルアラニンを代謝したあとは、反応が停止してしまうということが問題となっています。はっきりした原因はまだわかりませんが、原因の一つの可能性はPAHに糖鎖がついていないことです。現在用いている大腸菌による組み換え系では、生産されたタンパク質に糖鎖がつきません。この問題をはっきりさせるには、タンパク質生成時に糖鎖が付与される、真核生物による組み換えタンパク質の合成にチャレンジする必要があります。もう一つ考えられる原因は、PAHのタンパク質構造を維持するための補酵素のような要素がテトラヒドロビオプテリン(BH4)以外にも必要というものです。肝細胞の中にはそれが十分量存在するためにPAHの酵素活性が維持できるが、我々の実験系にはそれが不足しているのかもしれません。関係しそうなビタミン類をいろいろと反応系に加えていますが、PAH活性に深く関与しそうなものはまだ見つかっていません。
3)HULCの効果
HULCとは「hepatocellular carcinoma up-regulated long non-coding RNA」の頭文字をとったものです。肝がん細胞で発現が上昇するlong non-coding RNAとして発見された、タンパク質をコードしないRNAの一つです。このHULCについて、PAHの活性に必要だとする論文が2021年のScience誌において発表されました。上述したような不足する要素がHULCである可能性が十分あるため、この論文を参考にHULCの中でPAHの酵素活性向上に関与するRNA配列を、反応系に加えてみました。しかしながら、活性の向上はみられませんでした。HULCも必要かもしれませんが、他にもまだ発見されていない要素が存在する可能性があります。
4)PALの活性
2023年より国内でも販売されているパリンジック皮下注の主成分であるPALは、我々の実験系でどのような挙動をしめすのでしょうか。静岡県立大学の伊藤創平先生のお力添えによって、組み換えPALを作っていただき、活性を調べてみました(パリンジックは一部変異が導入されているため、厳密には同一ではありません)。その結果、組み換えヒトPAHとは異なり、フェニルアラニンを効率よくほとんどゼロまで下げることができました。このPALを赤血球に封入して同様の実験を行ったところ、やはりフェニルアラニンが減少することが確認できました。赤血球の中にいれた酵素によって、フェニルアラニンが明確に減少することが確認できたのは、我々のチームで初めてのことです。厳密な検証は今後の取り組みになりますが、液体肝臓の実現に向けてのマイルストーンを一つクリアできたと考えています。なお、伊藤先生は酵素をさまざまに「人工進化」させる研究をされており、今後も共同研究を行っていく予定です。
5)新規封入法の開発
我々がこれまで用いてきた低張液処理は特殊な方法ではなく、どちらかというと使い古された方法で、およそ50年前に発見された現象です。今回、この封入法について50年前にはなかった技術を使って詳細に解析を行いました。その結果、新しい手法を発見することができました。この液体肝臓プロジェクトの一つの課題は特許を取得することでした。今後、追加データを取りながら、特許取得ができるかどうか、さらには特許取得をどのタイミングで行うか等について準備を進めていきます。
1)〜4)は冒頭の写真に写っている修士2年生の岸谷さんが担当してくれました。5)は学部4年生の櫻井くんの成果です。二人ともとても頑張って研究を進めてくれました。それぞれこの3月で修了・卒業で、来年度は新しいメンバーに研究テーマが引き継がれます。
「対外発表・受賞」
2024年度は液体肝臓に関して以下の発表を行いました。また、受賞と研究費の獲得がありました。
6月26日 米国シアトルで開催された国際学会(Tissue Engineering and Regenerative Medicine International Society (TERMIS) World Congress 2024)で、岸谷がポスター発表を行いました。
9月24日 エッセンスフォーラム2024のエッセンスセッションにて、小島が口頭発表しました。
12月6日 第54回日本創傷治癒学会(一橋講堂・学術総合センター・東京都千代田区)にて、小島がシンポジウムで口頭発表しました。
2月21日 世界希少・難治性疾患の日(Rare Disease Day)関連イベントとして、RDD横浜/BIBLIOセミナー「Rare Disease Innovation Pitch in 日本橋~研究がつなげる未来~」(日本橋ライフサイエンスハブ・東京都中央区)で小島が口頭発表しました。
2月28日 第5回はまぎん財団 Frontiers助成金「研究開発型」部門でピッチ発表を行い、優秀賞を受賞しました。副賞として研究費300万円を獲得しました!!
2024年度でクラウドファンディングによる研究費を使い切ったのですが、はまぎん財団様のご支援により、2025年度も開発を継続できます。その他の研究費獲得や企業様との共同研究も模索してまいります。
「今後の計画」
特許取得についてしっかり進めていきます。PALを封入した赤血球で酵素活性がみえていますので、これを動物に投与して血中フェニルアラニン濃度が減少することを確認したいと思います。血中フェニルアラニン濃度の計測は日本薬科大学の山田先生に計測を引き続きお願いする予定です。さらに、付加価値の高いPALを開発すべく、静岡県立大学の伊藤先生とも相談を続けて行きたいと考えています。まだまだ基礎研究の域を出ることができていませんが、一歩一歩う進めてまいります。引き続き、どうぞよろしくお願い申し上げます。
ギフト
3,000円
3,000円コース
(1)お礼状(電子メールにてデータ送付)
(2)活動報告冊子(電子メールにてデータ送付)
(3)活動冊子に支援者名掲載(希望者のみ)
(4)寄附受領証
- 申込数
- 153
- 在庫数
- 制限なし
- 発送完了予定月
- 2022年3月
5,000円
5,000円コース
(1)お礼状(電子メールにてデータ送付)
(2)活動報告冊子(電子メールにてデータ送付)
(3)活動冊子に支援者名掲載(希望者のみ)
(4)寄附受領証
- 申込数
- 11
- 在庫数
- 制限なし
- 発送完了予定月
- 2022年3月
3,000円
3,000円コース
(1)お礼状(電子メールにてデータ送付)
(2)活動報告冊子(電子メールにてデータ送付)
(3)活動冊子に支援者名掲載(希望者のみ)
(4)寄附受領証
- 申込数
- 153
- 在庫数
- 制限なし
- 発送完了予定月
- 2022年3月
5,000円
5,000円コース
(1)お礼状(電子メールにてデータ送付)
(2)活動報告冊子(電子メールにてデータ送付)
(3)活動冊子に支援者名掲載(希望者のみ)
(4)寄附受領証
- 申込数
- 11
- 在庫数
- 制限なし
- 発送完了予定月
- 2022年3月

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