目指すは共存できる未来|アフリカマナティー保全プロジェクト
目指すは共存できる未来|アフリカマナティー保全プロジェクト 2枚目
目指すは共存できる未来|アフリカマナティー保全プロジェクト
目指すは共存できる未来|アフリカマナティー保全プロジェクト 2枚目

支援総額

2,182,000

目標金額 1,700,000円

支援者
182人
募集終了日
2023年10月22日

    https://readyfor.jp/projects/manatee2023?sns_share_token=&utm_source=pj_share_url&utm_medium=social
    専用URLを使うと、あなたのシェアによってこのプロジェクトに何人訪れているかを確認できます
  • Facebook
  • X
  • LINE
  • note
2023年09月26日 08:00

マナティーの保全は何の役にたつ?

アフリカマナティー保全プロジェクトをご覧いただき、ありがとうございます。

 

2023/9/24(土)に「没頭ガール」という番組が放送され、マナティー研究者・菊池夢美が出演しました。番組をご覧いただき、応援メッセージやプロジェクトのシェアをしていただいている皆様、本当にありがとうございます!

 

番組の中で、マナティーの保全が何の役に立つのですか、という質問を受けております。

ディレクターさんは、わざとそうした質問を投げかけて、視聴者にも考える機会にしてほしい、との考えで進めております!

番組制作に関わって下さったみなさんは、誠実でまじめな方達でした。

 

これに対する私の回答は、放送の都合上短く編集されており、モヤモヤした方もいらっしゃると思います。

 

そこで、この質問を掘り下げて紹介したいと思います!みなさんも一緒に考えてみていただければ幸いです。

 

 

マナティーの保全は何の役に立つ?

 

いろいろな説明を省いてズバッと言ってしまうと

 

マナティーを保護することで、その生息地全体が守られるでしょう。

 

マナティーを保護することで、お魚の数が増えるでしょう。

 

 

最初の説明は、生態系を守るために必要です、と説明しています。

二番目の説明は、人間にとってどう役立つのかを説明しています。漁業者にとっても、消費者にとっても、お魚が増えるのは嬉しいことですよね。

2つの回答は同じ意味ですが、言い方でイメージが変わります。

 

では、なぜ、マナティーの保護が生息地全体の保全につながり、お魚の数の増減に関係するのか?関係ないように見えるつながりを理解するには、生物多様性について知る必要があります。

 

 

生物多様性とは?

 

地球上には、細菌から⼈まで、膨大な数の生きものが暮らしています。

 

地球が誕⽣してから40億年もの⻑い時間をかけて、⽣きものたちは環境に適応して進化してきました。その結果、いろいろな環境にそれぞれ適応した⽣きものが暮らし、そこで⽣きものどうしが複雑なつながりを持つようになったのです。

 

これを⽣物多様性といいます。

 

 

生物は複雑なつながりをもつ(©️一般社団法人マナティー研究所)

 

 

しかし、私たちは、暮らしを快適で便利なものにするために、⼭をけずり、海や川をうめて、建物や道路をつくったり、農場や⼯場をつくったりして、環境を⼤きく変えてきました。

その結果、たくさんの生きものが絶滅し続けています

 

過去に5回、地球では大絶滅が起きたと考えられています。恐竜の絶滅も有名ですね。

 

しかし、現在は、過去の大絶滅よりもずっとはやい速度で、生きものが絶滅し続けています。その原因は、人間活動の影響です。

 

 

絶滅のスピード(©️一般社団法人マナティー研究所)

 

 

生物多様性を失うといけないの?

 

地球環境問題の2トップは「温暖化」「生物多様性の喪失」です。

 

温暖化問題は、自分たちにとってマズイことがおきている、とわかりやすいと思います。

けれども、生物多様性が失われ続けている、つまり、生きものが絶滅し続けていることが、なぜいけないのか? 具体的にわかりにくいですよね。

 

しかし、過去に、⽣きものが減ったり、絶滅したりしたことで、予想していなかった環境の悪化や、取り返しのつかない変化が起こったことがあります。

 

有名な事例は、ラッコの乱獲です。

 

ラッコの毛皮を目当てに、1741年からの170年間で、90万頭以上が乱獲され、その地域の海からいなくなりました。すると、ラッコがいなくなった海では、ほかの生きものがいなくなってしまったのです。

 

ラッコのいない海(©️一般社団法人マナティー研究所)

 

ラッコがいなくなった海では、食べていたウニの数が増えすぎてしまいました。

そして、増えすぎたウニたちが海藻を⾷べつくしてしまいました。

 

海藻は、カニなどの無脊椎動物や⿂たちがエサを取ったり、住みかにしたり、産卵したりする⼤切な場所でもありました。海藻がなくなって、これらの⽣きものもいなくなってしまいました。

 

こうして、⼈間によってラッコがいなくなり、ウニが増えて、海藻がなくなって、⿂などの他の⽣きものもいなくなる。恐ろしいドミノだおしが起こったのです。

 

他にも、有名な事例として、アメリカのイエローストーン国⽴公園のハイイオロオカミなど、いなくなってから予想外の環境変化が起きた事例があります。

 

ちょっとまって!

ラッコがいなくなると大変なことが起きるって、誰も予想できなかったの?

 

はい、できません。

 

私たち⼈間は、⾃然のしくみについて、まだほんの少ししか理解していないからです。特に⽣態系や⽣きものどうしの結びつきについては、まだまだわからないことだらけです。

 

生態系についてはわからないことだらけ(©️一般社団法人マナティー研究所)

 

 

予測できない怖さ

このように、わからないからこそ、予測できないからこそ、失う前にその⼤切さを知り、多くの⽣きものとともに⽣きることを⽬指す必要があります。

 

アフリカのマナティーについても同じです。私たちは彼らについて、まだ何もわかっていません。

 

生息地でどんな役割を持っているのか? 他の生きものとどんなつながりを持っているのか?

もしも絶滅したらどうなるのか? 誰にも予測できないのです。

 

実は、マナティーはアンブレラ種であると考えられています。

アンブレラ種(傘種)とは、特定の生息環境を、広い面積必要とする生きもののことです。そのため、その種を保全することが、他の多くの種の保全につながると考えられています。広域的な生物多様性の指標とされている生きものです。

 

だから、マナティーを保護することは、広い生息地全体の保護につながって、他の種の保護にもつながる、ということです。一番最初の回答の説明ですね。

 

 

では、なぜ、マナティーを保護することで、お魚の数が増えるのか、想像してみましょう。

 

マナティーは水中に暮らしていて、植物を食べていて、ウンチをします。このウンチは、水中の他の生物の栄養になります。そうした生物を餌にするがいます。その魚を食べる魚もいます。そして、人間はこうした魚をとって、食べています。

他にも、死んだマナティーの体は水中で重要な栄養源になっているはずです。また、マナティーの皮膚等にしか生息していない生物がいて、それらが他の生物と繋がりを持っているかも…

 

 

どうでしょうか?

マナティーという動物に注目して想像してみるだけで、いろんなつながりが見えてきませんか?

 

 

そして、忘れてはいけないこと!

 

 

私たち人間は、⽔も、⾷べるものも、服の繊維も、家の⽊材も、その他たくさんのものも、⽣物多様性の恵みとして受け取っています。たとえば、7万種もの植物から得た物質が、医薬品の成分として役⽴っています。

 

地球の生きものが絶滅し続けていても、私たちの生活に影響がないように見えるかもしれません。それは、私たちがまだほんの一部しか利用していないからです。

 

でも、その一部の背後にも、複雑で理解しきれない『生物の繋がり』が広がっています。異常な速さの絶滅が続くことで、いつ、どのようなほころびが出てくるか、誰にも予測できません。

 

 

このように、生物多様性を失い続けていることは、人間の存続にも関わる大きな問題です。目に見えるような問題が起きていないからと言って、人間の「役に立つ」ことだけを優先していては、この問題を解決することはできません。

 

 

役に立つ研究とは?

最後に、役に立つ研究について考えてみたいと思います。

 

生きものの研究者は、好きなことを楽しくやっているように見えます。

でも、研究をするためには研究費を獲得しなくてはいけません。そして、共同研究者の協力を得るためには、意義のある研究テーマにしなくてはいけません。 

 

だから、役に立たないような研究に見えても、「研究」として成立している背景には、そのテーマが意義あるものだと認められているんです。

 

そして、研究テーマの意義とは、いますぐ人間の役に立つかどうか、だけが判断基準ではありません。基礎研究も重要です。

 

 

基礎研究ってなに?

 

主に「真理の探究」、「基本原理の解明」や「新たな知の発見、創出や蓄積」などを志向する研究活動である。

 

このため、基礎研究は目に見える成果が現れるまで長い時間を要したり、その成果がどのような役に立つのかが直ちに分からなかったりすることが多い

 

しかしながら、その結果として解明・創出された「真理」、「基本原理」や「新たな知」は、科学的に大きな価値があることはもちろん、既存の技術の限界を打破し、これまでにない革新的な製品やサービスを生み出すなど、私たちの暮らしや社会の在り方を大きく変える可能性を秘めている。

 

(文部科学省;第1章 新たな知を発見する基礎研究より)

 

 

ノーベル賞でも話題になる基礎研究。

 

「この研究がどういった役に立つのでしょうか?」

 

日本のインタビュアーは質問してしまいます。気持ちはわかりますが… 基礎研究で受賞した研究者が、質問に真摯に答えようとすると、

 

「いえ、役には立ちません。」

 

と回答することになります。最初の説明のように、基礎研究はそういった研究ではないからです。

 

日本でも、基礎研究の大切さについて知る機会が増えれば、生物への理解も進むかもしれません。そして、生物への理解が進めば、私たちの大きな課題である「生物多様性の喪失」についての問題解決も目指せるかもしれません。

 

この研究って何の役に立つんだろう?

そう疑問を感じた時は、とびきりの想像力で、その研究や活動の可能性について考えてみてください!もしかしたら、その成果を生かす全く新しいアイディアが生まれて、それが人間の役に立つ大発見になるかもしれません。

 

 

 

<youtubeで生物多様性について紹介しています>

 

マナティー研究所YOUTUBE

リターン

3,000+システム利用料


リターンご不要な方へ/応援コース(3,000円)

リターンご不要な方へ/応援コース(3,000円)

グッズ等をお届けしない分、いただくご支援をできるだけ多く現地での活動や環境教育の実施のために大切に使わせていただくコースです。

・お礼のメール
・公式HPにお名前掲載 ※希望者のみ

申込数
19
在庫数
制限なし
発送完了予定月
2025年3月

5,000+システム利用料


マナティーと一緒コース

マナティーと一緒コース

繁田穂波(水棲生物画家)氏によるオリジナルイラストをつかったグッズです。

・繁田穂波デザインのステッカー
・繁田穂波デザインのポストカード

カメルーン在住のイラストレーター(Annick MHT)によるイラストをつかった
・オリジナルデザインのデスクトップ画像

- - - こちらもお届け - - -

・お礼のメール
・公式HPにお名前掲載 ※希望者のみ

申込数
6
在庫数
制限なし
発送完了予定月
2025年3月

3,000+システム利用料


リターンご不要な方へ/応援コース(3,000円)

リターンご不要な方へ/応援コース(3,000円)

グッズ等をお届けしない分、いただくご支援をできるだけ多く現地での活動や環境教育の実施のために大切に使わせていただくコースです。

・お礼のメール
・公式HPにお名前掲載 ※希望者のみ

申込数
19
在庫数
制限なし
発送完了予定月
2025年3月

5,000+システム利用料


マナティーと一緒コース

マナティーと一緒コース

繁田穂波(水棲生物画家)氏によるオリジナルイラストをつかったグッズです。

・繁田穂波デザインのステッカー
・繁田穂波デザインのポストカード

カメルーン在住のイラストレーター(Annick MHT)によるイラストをつかった
・オリジナルデザインのデスクトップ画像

- - - こちらもお届け - - -

・お礼のメール
・公式HPにお名前掲載 ※希望者のみ

申込数
6
在庫数
制限なし
発送完了予定月
2025年3月
1 ~ 1/ 31


最近見たプロジェクト

もっと見る

あなたにおすすめのプロジェクト

注目のプロジェクト

もっと見る

新着のプロジェクト

もっと見る