統合失調症という感性を本に!『めにみえぬものたち』を届けたい
統合失調症という感性を本に!『めにみえぬものたち』を届けたい

支援総額

3,085,000

目標金額 2,600,000円

支援者
198人
募集終了日
2018年5月31日

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2018年04月29日 22:03

窓から優しい気持ちがやってくる

何だか、最近は、人の心のことばかりを書いている。お前はどうなんだ?という声が体の中にいる自分から聞こえてくる気がしている。自身のことを書かないのは、ずるい気がしてきた。だから告白することにする。これは、あまり誰にも公言していなかったことだ。家族にも言ったことがない。

 

私は、数ヶ月に一度ぐらいのペースで寝込む。頭の中は、真っ白で靄がかかったような状態になって、上手く思考が纏まらない。時には、テレビのブラウン管が、灰色の砂漠になった時のように、虚無の粒子で頭の中は覆われる。去年は、精神的にかなり具合が悪くなり、一ヶ月ほど寝込んでいたこともあった。そんな時は決まって、体も悲鳴をあげる。全身に蕁麻疹ができて、顔はお岩さんのように膨れあがる。なんて正直な体なんだろうと思う。感じたストレスは全て体が反応する。そして、心は、もっと敏感に反応する。皆が自分のことを嫌っていて、陰口をいっているという妄想に取り憑かれる。妄想癖は、父の血を受け継いでいるのかも知れない。指の先から、真っ黒い闇が、体を染めていく。じわりじわりと体中が黒く覆われていく。全てが不安になって、体の中には一粒の希望もない。考えていること言えば、死ぬことだけ。そんな気持ちは延々と続く。出口が見えない迷路に入り込んだように。

 

私の場合は、この気持ちを人や家族には全く話さない。こういう精神状態のときに、話すとよけいに不安になってしまう。私に向けられる誰かの言葉は、固い石ころのように、体にぶつかっては、すとんと地面に落ちてゆく。言葉が痛い。ひたすら、体だけが調子が悪いふりをして周囲にも内緒でやりすごしている。周りには、ただ怠けているようにも思われてるけど。体の中は、絶望で忙しくしている。

 

苦しくて、どうにもならない。それでも、病院には行きたくない。薬も飲みたくない。そこも父譲りのようだ。そして、家の中でもがいている。自分で自分に攻撃している。お前なんか生きていく価値のない人間だと、言葉の牙で噛みついている。

 

10数年ぶりに、再会した友人にこう言われたことがある。

 

「だいちゃんみたいな人が、テロリストになるんやと思ってた」
「当時は、凄かったんやで、こんなに社会のことを呪っている恐ろしい人を見たことなかったわ」「絶対に、いつか人を殺すと思ってたで」
「でも安心したわ、普通の社会の道からは、外れてるけど、何か自分の道を見つけてるやん」

 

自分の中にある狂気の熱みたいなものをいまも感じる時がある。狂気の高熱を冷ますために、鬱状態のようなものが現れてくるのだろうか。そして、その狂気をなんとか浄化させるために、言葉や、絵をかいているようなところがある。

 

最近は、辛いときにも、一日に数分でもいいので文を書くことにしている。体が起きあがらない時は、パソコンを布団の中に持ち込んで書く。実は「めにみえぬものたち」の父の話は、この状態の時に書き始めた。当然、その初稿は、暗くて、陰惨で、救いのないものを書いていた。そして、なんというか。言葉が収縮しているというか、まるで、まじめな新聞記事のような固い文章になっている。そして、書いたものを翌日に読み返すと、精神的にダウナーになっている自分自身を否定したい気持ちになってくる。そして、推敲という作業を始める。もっと、言葉そのものは、混沌としていてもいいのではないのだろうか。そんな気分になってくるのだ。そして、暗くて、陰惨で、救いのない文の中に、なぜか、光や、輝きや、自由さを、探し始める。そして、何度も、何度も、文を書きかえる。すると、自身の気持ちも一瞬、楽になってくる。この作業を、毎日くり返すことで、前よりも、比較的早く、鬱から自分を取戻すことができるようになった。人間は、どんな闇の中でも懸命に、光や、自由さ、探す生きものだと感じている。

 

忙しくて、疲れている時に、寝てない時に、やりたいことをやれていない時に、人と会い過ぎている時に、この精神の絶望はやって来る。やりたいこととは、文を書くことのようだ。だから最近は、夜10時には寝て、朝6時に起きて3、4時間を集中して書いている。十分に睡眠をとって、1日の始まりに、やりたいことをやりきってしまう。そうすれば、あとは、のんびり娘と一日遊んでいられる。無理に人とも会わないようにしている。疲れていたら、素直に断る。こういう生活をするようになってから、絶望で寝込むこと、ほどんどなくなった。

 

しかし、このクラウドファンディングを始めてからは、そうもいかない笑。連日、人に会って、施策を練り、忙しい日々を送っている。頑張っている人に、皆が会いたいし、応援をしてくれる。そして、仕事も持ちかけてくれるんだなあと実感した。ありがたい。だけど、体は正直なので、精神と共に悲鳴をあげている。昨日、ついに、溜まった疲れが溢れだしたように、心の闇が、私に襲いかかってきた。昼間から、謎の寝込みをしている私をみて家族は心配している。一人で車の中で横になっていた。もうだめだ。精神は、真夏のグラウドに映る影のように、真っ黒く染まっていく。

 

娘が心配してか、私と遊びたいのか、車の中に入ってきた。

 

「おとうさん いま よる なん?」

 

私は微かな声で、やっとの思いで、娘に語り返した。

 

「うん、夜かも知れんなあ」

 

闇に染まった体を感じながら素直にそう言った。

 

「とりさんも だんごむしさんも よるは ねるからね!おとうさんも ゆっくり ねててね」

 

子どもの感性が、体が夜を感じているのなら、昼であろうが、寝ていいんだよ。伝えてくれている。

 

「分かった。ありがとう」

 

私は娘の言葉に涙が流れていた。感性という液体が頬を濡らした。いつもなら、こういう時には、誰の言葉も、私の中には入ってこない。娘の小さな優しい言葉が、影に染まりかかった心に、彩色をあたえてくれた。

 

「あー!まどから やさしい きもちが はいって きたよお!」

 

娘は、敏感に、私の心を見抜いている。私の心は、彼女の優しい七色の気持ちで染まっている。またもや、娘に助けられた。彼女はいま私の守り神のようになっている。この子のためなら、もう少し生きたいと思える。

 

人のことだったら、病気じゃなくて、それは、豊かな感性だよって言い切れるけど、なかなか自分が絶望する渦中にいる時は、そういう気持ちになることができない。ふと死にたくなって、それがたまたま運悪く成功してしまう。そんな人を見てきた。死にたくなる気持ちは痛いほどわかる。だから、叫ぶような気持ちでいま書いている。死なないで欲しい。病気なんて、ほんとはないんだって。出口の見えない迷路のような世界をそのまま受け入れる。狂気や、混沌ですらも、楽しく共存する。そんなことができる気がしている。

 

絶望した身体がそこから抜けだし「個性だからこのままでいいんだよ」と感じた時に、いつも変化が訪れる。絶望は、新たな何かを生み落とすまえに吹く風なのかも知れない。娘は風を怖がったり、気持ちいいと喜んだりする。子どものように、感度のいい人の体や、精神は、感じた事象を、豊かに、多様性をもって感知する。

 

「あー!まどから やさしい きもちが はいって きたよお!」

 

娘の言葉が何度も頭の中で響いている。子どものような優しい気持ちが体の中に溢れている。あなたは、病気じゃなくて、豊かな感性を持ってるんだよ。そんな風に、体が、言ってくれている気がする。

リターン

5,000


書籍「めにみえぬものたち」サイン入り 巻末にお名前クレジット

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2018年9月

10,000


オリジナル手描きトートバック

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•オリジナルの手描きトートバックをプレゼントします。作家本人が1枚づつトートバッグへ絵を描きます。世界に1点のトートバッグです。絵柄は、すべて違いますので、こちらで選んでお届けします。絵本などを入れて持ち運べるサイズのトートバッグです。図書館や、本屋さんへのお供に最適です。

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1 ~ 1/ 12


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