吉田憲司館長のトーテム・ポール制作現地報告（後編）

本日は吉田憲司館長のトーテム・ポール制作現地報告の後編をお届けします。

 

キャンベル・リヴァー全体のビッグ・ハウス（大集会所）

 

 

 

内部の彫刻もすべて、ヘンダーソン一家の作品です。

ビルさんと立つ私。

 

 

港に面したヘンダーソン家の墓地。中央にそびえている2本のトーテム・ポールのうち、右側の者は、ビルさんのお母様が亡くなられた折りに立てられたポールです。

　

 

キャンベル・リヴァーは、北海道石狩市と姉妹都市の間柄にあり、町の入り口の海辺には、石狩市から送られた赤い鳥居が立っています。その傍に立つトーテム・ポールもビルさんの作品です。民博の新しいポールは、この写真の右端のポールに似た姿になるとのことです。

 

 

トーテム・ポールは、古くなり、損傷が目だっても、補修や再着色はおこなわず、朽ちるままに置くのが習わしです。クワクワカワクウの人びとによれば、トーテム・ポールは、森から切り出し、彫刻を施しても、森の一部であり続けているといいます。このため、朽ちていくときも、そのままにし、土になって森に帰すのだとされます。
 

 

 

キャンベル・リヴァーの森に入ってみました。

 

 

 

クワクワカワクウの人びとの間では、トーテム・ポールをはじめ、家や船、家具や食器に至るまで、生活の用具はほとんどすべて、レッド・シダー（ヒノキ科ネズコ属族の常緑樹Thuja plicata。米杉と呼ばれるが、杉ではなく、日本のネズコと同類）の木で作られます。私たちのトーテムポールは、ヴァンク―ヴァー島の南部から切り出されたものだと聞きました。

 

レッド・シダー
（ヒノキ科ネズコ属族の常緑樹、Thuja plicata）
米杉（ベイスギ）と呼ばれるが、

杉ではなく、日本のネズコと同類。

クワクワカワクウの人びとのあいだでは、
トーテム・ポール、家、船、家具、器、

カゴからスプーンに至るまで、
すべてがレッド・シダーの樹から作られる。

 

トーテムポールの完成は、1月の初旬になるようです。

 

 

 

そのあと、ヴァンクーヴァー港までトラックで運び、船に乗せて、3月の初めまでには日本に到着する予定です。立ち上げは、民博の特別展「先住民の宝」（会期3月19日～62日）の会期中におこなう予定です。その際は、制作に関わってくれたアーティストたちにも民博に来てもらい、立ち上げに伴う伝統の儀式も催すことにしています。どうぞ、ご期待ください。