なんでこのパーカーはボタンなんですか？　Q&A

沢山のお申込みとSNSなどでシェアをいただきありがとうございます。

今回は商品のデザインに関していただ質問に回答いたします。

 

A: 何でジッパーではなくボタンを採用したのですか？

Q: どうやって考えたら今のボタンを採用したデザインになったのか、デザインを考えていた時の思考回路を公開します。

※よりリアルにお伝えできるように脳内独り言風に記載しています。

 

１、そもそもこの寝るパーカーでフロントが開く仕様がいるのか？かぶって済ますプルオーバーじゃだめなかの？こっちの方が販売価格を下げられるが？。。。だめだ、枕に変形させる時も、着たままフードに何か入れて使う時も一度パーカーを脱ぐ。つまり脱ぎにくいパーカーではだめだ。だからフロントは開かなければいけない。

 

２、フロントにファスナーを使用したらどうか？。。。だめだ、丸めた時にファスナーの部分だけ厚く固くなってしまい枕として使いものにならなくなる。ファスナー以外でフロントを開く仕様が必要だ。

 

３、丸めた時にカサになる物はフロントのパーツとして使用できないとすると、何を使えばいいのか？

ジャケットのようにフロントボタンを2ヵ程度留めるデザインなら丸めた時にボタンが丸めたパーカーの中の方に位置するので枕にした時に首に当たらない。さらに通常のZIPパーカーと異なった独自の意匠が作れるはず。ボタンは最小限の大きさのモノを使用し一体感のあるデザインを作る。

 

４、ボタン2ヵ所の仕様で不満点はないか？。。。ボタン2ヵ所じゃ首元が寒い。4ヵ所にすることで首元まで閉められるようにしよう。また第一ボタンと第二ボタンの間隔のみ意図的に変えてよりジャケットのように使えるパーカーにしよう。

 

５、首元までボタンを付けると枕にした時に邪魔になるのではないか？。。。前立てを大きく取ってボタンを開けた時にボタンの位置が中央（枕にした時の首の中心位置）から外れるように配置しよう。さらに前立ての生地の重なりをなくしてにフラットな状態で巻いて枕にできるように隠しフラップを追加する。

 

６、前回のお申込者様「女性はパーカーの下まで閉めた方が着やすいです」。。。この意見は間違いなく正解だ。ボタンを５つに変更して下まで閉まるように改良だ。

 

このようなプロセスを踏むことで寝るパーカーはジッパーではなくボタンを採用しています。そして現在のボタン配置、大きさも枕に変形した時のことと、通常地に着る時のシーンを両立させるために何度も調整した配置なのです。

 

ボタンを採用した結果うまく通常のZIPパーカーとシルエットの差別化をはかれたことも良い方向に落とし込めたと思います。

実際はサードサンプルを作るまでにパターンを１０回ぐらいの調整を入れながらてんやわんやしていましたが、今の形まで到達できて良かったです。

 

※monogatri projectは沢山の企画ストックがありますがサンプルを何回作ってもダメなやつはボツにしたり解決策が出るまでは寝かせています。何回チャレンジしても良いアイディアが出ない時はでませんよね。そんな時は半年ぐらい企画を寝かせて再度トライするのですが寝るパーカーはそんなこんなで３年ぐらいかかりました。最後のボタンを中心からずらすための隠しフラップを取り付けるというシンプルなアイディアがなかなか出なかったんです。

 

今別の企画としてプロジェクト中のカメラバッグの目玉機能の１つ「究極の3WAY変形システム」にいたってはここだけで解決するのに10年かかりました。たった１本のループを強度を保ちながら取り付けるアイディアのために10年・・・実用できるシンプルなアイディアは中々出てこないので困ったものです。

 

話がそれて長くなってしまいましたが、寝るパーカーがジッパーではなくボタンを採用したデザインの理由でした。