住職のひとりごとコラム：祈りの光、未来へ

祈りの光、未来へ。

皆様の温かいご寄付とご協力により、今年も「二十日の晩 奉納花火」を無事に終えることができました。夜空に咲いた一輪一輪の光は、皆様の想いそのもの。その輝きは、みなさまの心に静かに届いたと存じます。心より、深く感謝申し上げます。

この夜空を彩る花火の継続が、綱渡りの状態が続いております。

今から８年前、奉納花火は存続の危機に直面していました。寄付は減り、田殿橋を彩る提灯やライトアップの協力も得られず、かつて賑わっていた夜は、静けさと寂しさに包まれていました。山は木々に覆われ、光は届かず、人々の足も遠のいていったのです。

それでも、灯りを絶やさぬようにと立ち上がりました。奉賛会の役員が、かつて使われていた田殿橋のライトアップ用配線を譲り受け、危険を承知で再び灯りをともそうとしました。むき出しの配線、ショートの恐れ。それでも諦めず、住職は山のライトアップに挑みました。96の祠に穴を開け、コンクリートを削り、手作業で光の道をつくっていったのです。

そして、奉賛会と住職が力を合わせ、南側の木々を伐採。山全体が光に包まれ、再び人々の目に美しい景色が映るようになりました。

コロナ禍の３年間、花火は「シークレット花火」として静かに夜空を彩りました。医療従事者へ、そして下を向いて歩く人々へ——せめて一瞬でも、空を見上げてほしい。そんな願いを込めて打ち上げられた光でした。３年目には資金が底をつき、初めてクラウドファンディングに挑戦。皆様のご支援により、希望の光を再び夜空に咲かせることができました。

そして迎えた2025年度。火薬の価格はコロナ前の２倍、原材料費も昨年比で15％上昇。運営費も高騰し、以前はお手伝いの方々に提供していたお弁当や飲み物も見送らざるを得ず、一晩のためだけの参道の照明工事も大幅に縮小。それでも、皆様のご協力のおかげで、奉納花火を打ち上げることができました。

今年の花火は、多くの方々にご来場いただき、この地域で最後の花火として、風情あるひとときを味わっていただけたことと思います。ご先祖様、水害や戦争で命を落とされた方々への鎮魂、そして弘法大師への奉納として、歴史と祈りを繋ぐことができたことに、心から感謝申し上げます。

しかし、課題はまだ続きます。花火に必要な備品の更新が迫っておりますが、法蔵寺にはその資金を捻出する余裕がありません。来年度も、クラウドファンディングによるご支援をお願いせざるを得ない状況です。

これまで、法蔵寺・浄教寺・法蔵寺と３度にわたりクラウドファンディングに挑戦し、多くの方々から温かいご支援をいただいてまいりました。重ねてのお願いとなり、誠に恐縮ではございますが、来年度に向けて準備を進めてまいります。

どうか、これからも変わらぬご支援とご協力を賜りますよう、心よりお願い申し上げます。

皆様とともに、祈りと感謝の光を未来へと繋いでいけますように。