残り２日｜水沢観測局20m電波望遠鏡と10m電波望遠鏡

 

　残り２日。クラウドファンディングも間もなく終わりを告げようとしています。これほど多くの方とのつながりを知る機会となり、本当にこれ以上ない経験となりました。ご支援いただきました皆さまに改めて感謝申し上げます。

 

　さて本日は、国立天文台水沢VLBI観測所 VERA水沢観測局にある20m電波望遠鏡と10m電波望遠鏡（２台の電波望遠鏡）についてご紹介いたします。

 

　10m電波望遠鏡は、1992年、当時構想中のVLBI観測網の技術開発などを進めるために水沢に建設されたものです。ここでは次々と天体を変え観測できるよう高速な駆動性能の実現と1.3cmならびに7mmの電波による観測、またこれらを通してVLBI観測に必要な技術が確立されました。

 

　20m電波望遠鏡は、2001年3月に完成し、その後の試験なども経て、同10月に初となる科学観測に成功しました。また国内４カ所（入来、石垣島、小笠原、水沢）全ての完成ならびに試験を終えて、2003年2月から4局を用いたVLBIによる観測を開始しました。

 

　高精度な観測データには地球大気の影響が大きく、これらを取り除くために必要な情報の蓄積、また処理方法の構築などを経て、2006年ごろから星の距離測定に必要な年周視差の検出が可能となりました。なおこの達成に願いを込め、本間所長は当時、多磨霊園にある初代所長の木村榮のお墓参りに行ったと、創立120周年記念誌（一部返礼品）には記述されています。

 

　このようなことを経て、私たち天の川銀河の星たちの位置、動きなどを精密に観測し、天の川銀河の中心までの距離や回転速度などをより高い精度で求め、地図作りを進めてきました。また現在は、韓国中国など東アジアの国々にある電波望遠鏡と連携し、より高い精度での観測を可能とする東アジアVLBI観測網（EAVN）の運用開始から、ブラックホールから噴き出すジェットや星が生まれる場所の観測などへと研究テーマが移り変わりつつあります。

 

　今後も海外の電波望遠鏡とも連携し新たな研究成果を挙げてゆく所存ですので、皆様にお届けできるのを楽しみにお待ちいただければ幸いです。