イベントでの出来事（７）

「あなたが依存症にならないために」ではなく「あなたのまわりに依存症の人がいたら」と伝えることについて---

　以前、M先生が高知大学で自殺対策のご講演をしてくださったことがありました。 先生はたくさんのことをお話してくれたのですが、私の印象に残ったのは、

・例えば高校に薬物依存症の講義をしに行っても、一番リスクの大きい層は授業をさぼって教室にいなかったりする。

・教室に残った「リスクの小さい一般生徒」に「自分が薬物依存症にならないように気を付けましょう」と言っても意味はない。元々、なりにくい層だから。

・大切なのは「支援者教育」。一般生徒がよい支援者になるように働きかける。まわりに薬物にとりこまれそうな友人がいたら、見て見ぬふりをするのではなく、一緒に相談に行こうと手助けするようにと、伝えるべき。

というような一節でした。さすがはM先生だと思いました。 

　依存症の社会啓発もその気持ちで行っています。 休日のイオンに笑顔でやってくるファミリーは、どちらかというと「リスクの小さい層」なのでは、と思います。「あなたが依存症にならないため」 も、もちろんすごく大切ですが、「あなたのまわりの依存症者にうまく対応するため」 を伝えるのが、すごくすごく重要だと思っています。一般社会の人に依存症のことを知ってほしい。依存症の本人・家族を責める以外の解決法があることを知っていただきたいです。

　早期に支援につなぐことができれば、本人も家族も本当に助かります。どうかみなさん、依存症のことを知って、そして必要な時には、ぜひ手を貸してください。

よろしくお願いいたします。