リレーメッセージ＃6『仲間たちとそっと幸せを噛みしめ・・』

　こんにちは。

　文部科学省時代に一緒に働いていた南郷先生から素晴らしいメッセージをいただきました。企業、教育行政の世界から学校に赴任して5年目。先生方の日常の頑張りがものすごく伝わってきます。

　目標達成まであと30万円。早くエッセイを募集したいです・・。

　企業でも行政でも学校でも働いた経験から、控えめに言っても、学校という職場はもっとも幸せな職場だと私は感じています。
　曇りの日も土砂降りの日もあります。時には猛烈な台風です。しかし、雲間から陽が差し込む瞬間があります。そしてみるみると、驚くほどの紺碧の空へとたどり着くのです。まるで子供たちの人生は、成長は、そのようなものです。この空を見るための日々は子供と教師の協働作業であり、学校という職場の日常です。

　学校で働き始めて5年、教師の悲しみの涙も悔しさの涙もたくさん見ました。そして、一番見たのは感動とよろこびの涙です。もちろん私も流しました。こんなにも職場に涙があるのは、人間と人間が本気で向き合っている場だからだと思います。大人も論理だけでなく情動も総動員して生きている、学校とはとても人間的な職場です。
　さらに、教師が向き合っているのは子供たちとだけではありません。子供たちに向き合うとはつまり、未来に向き合うことです。世を憂い、時代を見通し、本気で未来を語らうのです。今では、「教育者は他のどのような職業人よりも、遠い将来を見定めることにかかわっている（デューイ）」と言われる理由が良く分かりました。我が校の教師は、子供たちとともに学校という職場を飛び出して、コミュニティと語らい、企業と語らい、大学と語らい、国際機関と語らい、地域変革のプロジェクトに取り組んでいます。教師とは、全力で未来の創造に参画する仕事でもあります。
　それ故に、教師は暇ではありません。人間と未来と向き合う日々は予定調和ではなく想定外の連続です。しかし確信しているのは、学校という職場は、子供たちと教師自身の成長によって、昨日より今日が、今日より明日の方が必ず良くなるのです。それはとても幸せなことです。

　その幸せを形にして見せてくれるのが、このプロジェクトから生み出されるたくさんの物語りです。最後に付け加えると、多くの教師は真摯です。普段はことさらに教師冥利に尽きるエピソードを喧伝せず、仲間たちとそっと幸せを噛みしめ、子供の成長を喜び合うのです。教師の魅力を可視化するには、エッセイを書く機会を無理にでも設けるしかないとも思うのです。

（福島県立ふたば未来学園中学校・高等学校副校長   南郷 市兵）