残り２１日となりました。乱歩先生が見た名張のこと。

「話が前後したが、桝田医院を出て、辻酒店に行くまでに、私の生家のすぐ近くを流れている名張川の河原に出てみた。堤から美しい水の流れている所まで、十間ほどの雑草の生えた所があり、自然の小道伝いに近づくと、水際に石を並べて洗濯などできるようになっている。私の母は毎日ここへ出て洗濯したのである。川幅は水の流れている所でも十数間はあり、水のない部分を加えると三十間以上もあるように見えた。この川を境にして町が途絶え、向こう岸には、鎮守の森や、遠山や、田圃や、点々として百姓家が見え、実にノンビリした美しい風景である。この風景は母がここで洗濯した頃と、おそらくあまり変わってないのではないかと思われた。朝日新聞の人はここでも写真を撮ってくれた。」ふるさと発見記より

ふるさと発見記ではこの写真は使われませんでした。

2年前に桝田先生のご遺族から写真をもらった時、この写真がこの時のものだというのはすぐにわかりました。

昭和27年に乱歩先生が見た風景は、今もほとんど変わっていません。

それは乱歩先生のお母さんが明治27年ごろ、ここで洗濯をしていたとき見ていた風景と変わっていないということです。

江戸川乱歩生誕地を訪れたら、ぜひ名張のまちも歩いてみてください

名張には乱歩さんが見たのと同じ風景があります。

引き続きご支援、よろしくお願いいたします。

　　　　　　　　　　　　　乱歩と名張　　辻　孝信