お茶のブレンド？シングルオリジン？

今回ご紹介するのは、ブレンドのお茶とシングルオリジンのお茶の違いについてです。

 

早速ですが、まずはわかりやすい「シングルオリジン」のお茶についてお話しします。

 

シングルオリジンとは、単一品種・単一農園で作られたお茶のことを言います。

 

今、日本で出回っているシングルオリジンは、基本的には「単一品種」の方を指していることが多いようです。

 

そもそも、お茶の樹の品種がどれくらいあるのか、ご存知でしょうか？

 

おそらく、茶業関係者でも正確な数を答えられる人は少ないマニアックな話ですが、軽く100種類は超えていると言われています。（正式に品種登録されていないものも含めるとまだまだ増えます！）

 

その内、市場に出回っているほとんどは「やぶきた」と呼ばれている品種で、日本で生産されるお茶の７割超がこの「やぶきた」です。

 

ただ、鹿児島は全国的にも珍しく、この「やぶきた」の生産割合が半分以下。

温暖な気候を生かして、多くの品種を育てていることが鹿児島の特徴です。

 

 

さて、前置きが少し長くなってしまいました。

改めて、シングルオリジンとは単一品種で作られているお茶を指します。

 

シングルオリジンのお茶の面白いところは、使う原材料がたった一つの品種のみですので、収穫された年によって味わいが変わるところ。

また、同じ品種であっても、地域や生産者によっても味わいが異なります。

 

つまり、年や、場所や、人によって、一つとして同じお茶が生まれないんです。

 

まるでワインのようですね。

 

 

もちろん、美味しいお茶になる年もあれば、正直いまいちなお茶になってしまう年もあります。

 

ただ、生産者としては、

 

「今年のお茶が今までで最高に美味しい！」

 

と常に胸を張れるように、1年間かけて（あるいはもっと長い年月をかけて）誠心誠意お茶作りに取り組んでいます。

 

そうやって、常に変わり続けるお茶を楽しめるのは、シングルオリジンだからこそ。

 

 

 

一方で、そんなシングルオリジンの不安定さを克服し、毎年安心できるお茶の品質を保つために、さまざまな品種や地域、生産者のお茶をブレンド（お茶業界では「合組（ごうぐみ）」と言います）することにも、お茶業界は力を注いできました。

 

 

いつも飲んでいるお茶の品質や味が、購入した年によって毎年毎年変わるようだと、安心してお客さんにも出せませんし、ましてやギフトとして贈る時も悩んでしまいますよね。

 

多くの茶葉の中から適切なものを的確に選び抜き、g単位でブレンドし、焙煎（お茶業界では「火入れ」と言います）し、毎年同じ品質を保つ技術は、長年の経験に裏打ちされたまさに職人技。

 

また、ブレンドすることで、品質や味わいを安定させるだけでなく、更に向上させられるというメリットも生まれます。

 

ブレンドのお茶には、シングルオリジンとはまた違う、個性が調和した奥行きのある味わいがあります。

 

それぞれの個性を生かし、補いながら、よりバランスの取れたお茶に仕上げていく。

それが、ブレンドのお茶のいいところです。

 

 

変化が楽しい、というときもあれば、安定した味わいが安心、というときもあります。

シーンによって求めるものが変わるのは当たり前。

どちらか一方が良くて、もう一方は邪道、なんてことはありません。

 

 

シングルオリジンとブレンドのお茶と飲み比べてみるのも、お茶の楽しみ方の一つかと思います。