手術も術後管理も発展途上であった肝胆膵外科医を目指した理由

 

多くの応援をいただく中で

・なぜ医師を目指したのか、
・医師の中でも膵臓に関わる領域に携わることを決めたのはなぜだったのか

そんな質問をいただくことがあります。

本日は、研究内容から離れ上記質問に答えていければと思います。

 

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 ■  地域医療を全うする祖父の背中をみて、外科医になることを決めた
 

両親、両祖父母あわせて6名のうち5名が医師の、いわゆる医師家系で育ちました。
そのため、小さいころから両親や祖父母のように、医師になり困っているひとの役にたつことができるひとになるように教育され、医師になりました。

 

領域を決めるにあたり、医師になったときに「救命救急医」「小児科医」「外科医」で悩みました。その中で、外科医として地域医療に全うする祖父をみて、同じ外科医の道を進むことに決めました。

 

母方の祖父は外科医として、当時、鹿児島の田舎で唯一の診療所をもち、外来、手術、術後管理など、一人で多くの患者さんの診療に従事し監察医も務めていました。

まさしく休みなく働き、空いた時間には医学知識の更新に努め地域医療を全うする、そんな祖父の姿をみて、私も外科医になることを決めました。
 

 

■  発展途上の領域である膵がん患者さんの治療を改善したいと、2001年から胆膵外科医を志す

 

その中でも、「肝胆膵外科」は当時新しい分野でした。手術も術後管理も発展途上であるところにひかれ、肝胆膵外科医を目指しました。
 

なかでも「胆膵外科」はさらに発展途上の領域であり、膵癌患者さんの治療成績が極めて不良であることから、どうにかしてこの治療成績を改善したいという思いを強く抱き、2001年から胆膵外科医を志しました。

 

胆膵外科医を志した2001年ごろ、ひとりの腹膜偽粘液腫の患者さんとご縁をいただきました。
 

現在でもその治療は困難ですが、当時はほぼ治療法がなく、文献をあたり腹腔内の温熱化学療法の存在を知ることとなり、温熱化学療法を行って治療効果を確認し数回腹膜偽粘液腫の切除術を行いました。しかし残念ながらその甲斐なく逝去されました。

 

 

切除可能な胆膵癌患者さんに対して根治切除を行うこと、切除不能な患者さんにおいても化学（放射線）療法を駆使して根治切除を行うこと、そしてそれらの患者さんの術後に元気なお姿を外来で拝見することが、これ以上ないやりがいです。

 

先ほどあげた患者さんでの経験を活かし、膵癌腹膜転移治療に応用し、現在までで10名以上の腹膜転移患者さんに対して根治切除を行い、5年生存されている患者さんもいらっしゃいます。

 

 

この治療をさらに発展させて、多くの患者さんに希望と安寧をお与えしたいと強く考えています。