実行委員からのメッセージーゆうさんー

 

　コロナ禍になってからウェビナー（ウェブのセミナーの略で、オンラインベントのこと。）を見ることが多くなりました。その中では、手話または字幕のどちらかが付くイベントも、増えてきました（ジェンダー系のイベントに限って、なおかつ多めに見積もっても、10%もいかないとは思いますが）。

 

　聴覚障害者全員が手話ができるわけではないですし、書記日本語（書かれた日本語）が苦手な方もいます。

なので理想を言えば、手話と字幕が付くことであろうと思います。

 

　1981年は、「完全参加と平等」をテーマとした国際障害者年でした。

 

　今年は国際障害者年からは40年ほど経ちました。10年前、2011年には障害者基本法の条文内で「手話は言語」と明記されました。しかし、手話言語法は未だ成立しておらず、自治体レベルの手話言語条例があるのみです。それを聞いて、パートナーシップ条例を思い出した方もいるかもしれません。マイノリティとして制度などに問題があるということは、似ている部分があると言えると思います。しかしそれだけではないと思います。

 

　トランスジェンダー問題のプロローグ（p8）では「トランスジェンダーの人々が暴力を受けない社会は、すべての人が暴力を受けない社会と等しい」（筆者要約）と語られます。それは、例えば、トランスジェンダーの中には、ろう者といった人もいるということ。そのため、トランスジェンダーの人々の直面する問題が解決するためには、その他の問題も解決がされていかないといけないということです。

 

　それは大変な道のりでもあるかもしれないです。ですが、同時に他の周辺化された人々が連帯するための契機とも考えられます。

 

　通訳技術は一朝一夕で身につくものではなく、特に専門的な内容での担い手不足の問題。また依頼するにもお金はかかるもので、お金のないクィアにとっては非常に大変なことでもあると、思います。

　課題や問題もまだまだ多い大会だと思いますが、全ての人が参加できる大会のために、できる範囲でご支援いただけたら幸いです。

　そして、この大会のような取り組みをより良い形で広めていってもらえたら嬉しいです。私たちもそこから学び、不均衡な社会を均すというか、一緒に壊していけたらと思います。

 

ゆう 

出典（UnsplashのDan Farrellが撮影した写真）