応援メッセージ～魔法使いに出会える時間

演出家の新見真琴さんから応援メッセージを頂戴しました。

泣けてしまいます。

ホスピタルシアタープロジェクトは、子どもたちにとっても、親にとっても、魔法使いに出会える時間だったー。

私は20代の頃より舞台演出家として過ごしてきました。30代に入り子どもを身籠り、出産。子育て期に入った途端に、仕事にしてきたはずの演劇は、遠いもののように感じられる日々が続きました。いや、妊娠中の体の不調が起きた時期からかもしれません。
劇場の椅子は固く狭く、妊婦にも、子どもにも決して快適とは言えません。体勢を変えることすら困難です。

子どもが生まれて、それなりに劇場に連れて行きますが、大人よりも圧倒的に高い好奇心や感受性を持つ子どもたちは、とにかく近くで見たがったり触りたかったり、暗闇が怖くて泣いたり逃げようとしたり、大きな声でリアクションをします。世の中のファミリーの観劇体験は、この子どもたちをなんとか途中退席させることなく最後まで観劇させる！という、仕事以上に神経をすり減らしながら努力するママやパパたちの信念によってなんとか成り立っている現状が殆どです（汗）

子どもには様々な個性や特性があることは、子育てをする中で学び、理解が深まれば深まるほどに、劇場空間だけでは足りない新しい選択肢が必要だと思っていました。そんな時に出会えたのがポスピタルシアタープロジェクトでした。代表の中山夏織さんの慈しみ深いご性格は兼ねてより存じ上げておりましたので、大変楽しみに子どもたちと観劇いたしました。一緒に観劇した子どものうち1人は、幼い時からいわゆる発達グレーの診断を受けており（この発達グレーってなんなんでしょう？発達カラフルの間違いでは？笑）当時、とても劇場の椅子で観劇なんてしていられない、興味を持てないかも知れない、大きな声を出してしまうなどと親から心配されている子でした。しかし、ホスピタルシアターの演出はまるで魔法！キラキラ、フワフワ、プニュプニュ、子どもたちが触りたいと思うものが触れられる！近くで見たいダンサーや、俳優や演奏家が近づいて来てくれる。もちろん、子どもたちから見に近づくことも許されて、最後まで楽しんで観劇が出来るのです。

「静かに。バタバタ音を立てないで、座って見て。」と、親が小声で囁かなくて良いなんて！
子どもたちの好奇心をくすぐる直感的にワクワクさせる仕掛けの数々は、親にとって魔法の時間を作るお薬を処方されたような気持ちになりました。

演劇を観たいと思う者の誰もが、劇場の構造や一般的な演出方法に体が馴染むわけではありません。そんな中で、大切な選択肢として「魔法使いたち」が存在し続けてくれることの価値は、計り知れぬ大きなものだと思います。

あの体験を思い出すと、いつまでもいつまでも、沢山の子どもとその家族の大切な居場所であって欲しいと願って止みません。

心から応援しています。いつまで素晴らしい活動を期待しております！