梅津和時さんから応援メッセージをいただきました

私は仙台の出身である。

「センダイとはアイヌ語のセプ・ナイが語源で、広い川を意味するものだ」と教えてくれたのは、小学校の遠足のバスガイドさんだったと記憶している。広瀬川のそばに住んでいた私は、そうか、この辺には昔アイヌの人たちが暮らしていたのだ！　と子供心に興奮を覚えた。

私にとって「アイヌ」の人たちは何故かその頃から特別な存在。自然と共に生き、自然の中の神を敬い、勇猛であり優しくもあり……、私は彼らに畏敬の念を持って、自分のバンド名を「シャクシャイン」としたくらいだ。

しかし、私の知っているアイヌの人たちは決して多くはない。伝統の楽器トンコリを甦らせ、独自の音楽を創造しているミュージシャンのOKI君や、昔からの素晴らしい歌を現代に伝えてきた稀代の名歌手、故安東ウメ子さん等。彼らは優しい。そしてその優しさの中にアイヌ民族としての誇りを感じる。必ず感じる。共通して感じる。

宇井眞紀子さんの写真には、そんなアイヌの人々の素顔の現在がある。

宇井さんの写真の中の人々は、私の知らない人達で、職業も年代も様々、都会の中の写真も少なくない。簡単に言うと普通の、一般の人々だ。

でも彼らのポートレートには、知里幸恵さんが「アイヌ神謡集」の序で書いた『自然の寵児、幸福な人たちであった』顔や姿がある。

宇井さんのカメラは、銀の滴、金の滴を降らせるフクロウなのではないだろうか。

 梅津和時
サックス奏者

事務局より

梅津さんと宇井さんが出合ったのは、お知り合いのカレー屋さん（夜は飲み屋さん）のカウンターとのこと。気さくにお話をしてくださる梅津さんと、アイヌへのリスペクトを共通項に話が弾み、その後、偶然にもお会いすることが重なったのがご縁になったそうです。