子どもが使えるiPadアプリ『えにっき』をパワーアップ!
子どもが使えるiPadアプリ『えにっき』をパワーアップ!

支援総額

931,000

目標金額 800,000円

支援者
61人
募集終了日
2023年10月18日

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2023年09月19日 11:40

事例紹介〜知的障害のあるAさんとの活用〜

文字を学習する知的障害のあるAさん

私が『えにっき』を開発したのは5年ほど前のこと。

当時は特別支援学校の教員として、知的障害と自閉症を併せもつお子さん(Aさん)の担任をしていました。

 

Aさんは小学部の高学年になり、平仮名が少しずつ読めるようになってきました。

片仮名の学習も始め、濁音や拗音といった特殊音の学習も進んできました。

給食の献立を読めるようになり、学級では毎日の献立を発表する係を担ってくれるようになりました。

 

一方で、Aさんは独特な字を書くお子さんでした。

運動発達に関して、手先に不器用さがある・・・と評価することがありますが、Aさんにその表現は適切ではないかもしれません。

同じ仮名はいつも同じ形に書くことができます。

「味のある字だね」と声をかけられることが多く、毛筆で書いた字などは躍動感さえありました。

ただ、書いたものを後から読み返すことは難しく、書いた本人も読み返すことに苦戦していました。

そのため担任である私は、文字を学習する際には「書かずに学ぶ」という手段を積極的に採用しました。

書かずに文字を学ぶ

よく使ったのは、マグネットシートで自作した文字チップです。

自作した文字チップ
自作した文字チップ

清音五十音の他に濁音・半濁音・拗音・促音。

それを平仮名と片仮名。

また、単語を構成する際に同じ仮名が繰り返し出てくることがあるため、各文字3枚ずつ。

計500枚近いチップを自作していました。

文字チップと献立表(単語構成の学習)
文字チップと献立表 自分が並べた単語を自信満々に読み上げ、発表していました

 

もちろん、ICTも使います。

当時既に完成していた『ごじゅーおん』というアプリも活用し、アナログとデジタルを使い分けて学んでいました。

五十音表形式のアプリで文字を学習
五十音表形式のアプリで文字を学習

文字チップ・単語構成学習の話はまだありますが、『えにっき』からは話題が逸れてしまうので割愛します。

 

単語から文へ

単語構成がスムーズにできるようになってくると、簡単な文を綴れるようになってきました。

ですが、それをあの文字チップで取り組むには流石に限界があります。

ここはやはりICTの出番・・・ということで、Aさんでも使えるiPad用のテキストエディタを探し始めました。

 

それまでは3〜5文字程度の単語構成が中心でしたから、文を綴ると言っても、当面の目標は10〜20文字程度です。

数千〜数万文字の資料を作成できるオフィス系の文書作成アプリはもちろん、OS標準のメモアプリもオーバースペックに思えました。

「文字を入力するだけのアプリなら簡単に作れるだろう」という甘い考えもあり、軽い気持ちで開発に取り掛かかったのが『えにっき』でした。

(実際には想定外の苦労や難しさも多々ありましたが・・・。)

 

10文字書くためのテキストエディタ

開発当初から考えていた特徴は、以下のようなものです。

 

・少ない文字数でも達成感を得られるようにしたい

 → スライダー操作で文字の大きさを一括して変更できるように。

・書いた内容を確認しやすくしたい

 → 読み上げボタンを追加し、いつでも「耳」で確認できるように。

・書いたものを印刷したい

 → 最初から紙への印刷を想定したレイアウト。取り組んだ内容を印刷して家庭に持ち帰るなど、学校の日常にフィットしやすい構造。

 

『えにっき』と給食の献立
『えにっき』と給食の献立

 

実際に授業で使う中で、我ながら「使いやすい」と感じたのは読み上げボタンです。

Aさんが書いた内容に誤りがあったときにこちらから直接指摘するのではなく、「一回聞いてごらん」と声をかけてみます。

自分で読み上げボタンを押し、音声を聞いて自ら間違いに気付くことができました。

 

合成音声には発音の悪さや読み間違いがあるので完全ではありませんが、その不完全さを楽しむことも含めて、書いた後のお決まりのタスクの一つになりました。

 

その他にも、ボタンの大きさや配置、画面をスクロールさせる場所など、Aさんが操作する様子を観察しながら、アプリの細かな挙動をブラッシュアップさせていきました。

 

Aさんのその後

その後のAさんですが、文字での表現の幅はますます広がっていきます。

でもそれは、『えにっき』で書く量が増える、ということではありませんでした。

 

Aさんが小学部を卒業するとき、一通の手紙をもらいました。

縦書きの便箋で3枚ほどの手紙です。

中にはしっかりと力強い字で、修学旅行の思い出が記されていました。

単語のチョイスや言葉遣いにAさんらしさが感じられ、一緒に学習した私にはとてもよく伝わる文章でした。

 

担任の先生が変わる中で『えにっき』の活用は終わりとなり、手書きでの学習に力を入れていったようです。

鉛筆で書くことに自信を深めていった姿が、その手紙からはうかがえました。

 

教材と卒業

私はもともと教育現場の人間だったもので、作るアプリはどれも『教材』として捉えているところがあります。

一つの見方に過ぎないとは思いますが、私自身の教材観として

 教材には卒業がある

というものがあります。

 

『えにっき』をテキストエディタとして長く使い続けていただくことも嬉しいですが、

これを卒業してより高機能なアプリへと移行したり、

手書きの良さを再確認したり、、

ということも喜ばしいことだと思っています。

 

Aさんは、『えにっき』を卒業していきました。

 

『えにっき』に限らず先にご紹介したマグネットシートの文字チップもそうですが、振り返ってみれば、それらが必要だったのは短い期間でした。

本当にAさんの役に立っていたのか、今となっては怪しく思えてしまいますが、鉛筆だけの学習では「書く」ことへの抵抗感を増やしてしまったかもしれません。

iPadと『えにっき』を使った学習には毎日積極的に取り組んでくれていましたから、そこで培った習慣や自信がその後のAさんに繋がったのかな、と思っています。

リターン

3,000+システム利用料


alt

お礼のメール(3,000円)

●お礼のメールをお送りします。

申込数
27
在庫数
制限なし
発送完了予定月
2023年11月

5,000+システム利用料


alt

お礼のメール(5,000円)

●お礼のメールをお送りします。

申込数
6
在庫数
制限なし
発送完了予定月
2023年11月

3,000+システム利用料


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お礼のメール(3,000円)

●お礼のメールをお送りします。

申込数
27
在庫数
制限なし
発送完了予定月
2023年11月

5,000+システム利用料


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お礼のメール(5,000円)

●お礼のメールをお送りします。

申込数
6
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制限なし
発送完了予定月
2023年11月
1 ~ 1/ 9


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