それはザンビア大学からはじまった

こんにちは。東京外国語大学のアフリカ地域専攻担当教員の坂井真紀子です。
2012年春のアフリカ地域専攻の設立前、私はその前年2011年秋学期に一足先に着任し、設立までの準備を行いました。その中の大きな仕事の一つが、アフリカの大学と交流協定を結ぶこと。もう一人の担当教員の島田周平先生は2012年４月着任だったため、大学勤務未経験の私一人、右往左往したことも今ではいい思い出です。予算がある間にと、大学から急かされ、２月に南部アフリカのマラウイ、レソト、マダガスカル、南アフリカの大学を訪問しました。外国語学部時代の学生たちの中には、その縁でマラウイやマダガスカル、レソトなどに休学留学した人もいます。その後も自分のフィールドに近かったタンザニアの大学などと交渉をしましたが、様々な条件が合わず、協定締結に至る道は本当に厳しかったです。

　結局は島田先生の着任後、ザンビア大学と初めて交流協定を結び、その後、南アフリカのプレトリア大学、ルワンダ・プロテスタント大学と少しずつ協定校が増えていきました。学生交流協定は、双方の大学が対等な立場で、受け入れ可能な学生数を決め、相互に学費免除を行うことが義務となります。しかし、現実には経済的格差があり、アフリカの留学生の来日はほぼ不可能でした。
　アフリカの多くの大学との協定が見送られた、あるいは締結した協定が終了した主な原因は、まず渡航費を含む留学に必要な資金を安定的に提供する仕組みがないこと、そして協定締結後、良好な関係維持のためのメンテナンスを行う人材の不足でした。
　そうした状況にもかかわらず、ザンビア大学は、2014年のアフリカ地域専攻の一期生にはじまり、それからほぼ毎年本学学生を快く受け入れてくれました（2024年現在のべ11名）。一方、ザンビア大学からの留学生の初来日は、コロナ禍をへた2022年、世界展開力強化事業の予算がついてからです。9年も待ってくれたザンビア大学に、私は頭が上がりません。少しずつでもこの恩を返していきたいと思っています。2024年現在、延べ6名のザンビア学生が本学で学んでいます。そして今年、そのうちの一人アネットが大学院生として本学に戻ってきました。細々とでも絶えず交流を続けること、顔の見える信頼関係を維持していくことの大切さをあらためて感じています。