～第2話：アートセラピーとの出会い～

絵画教室を始めて２・３年が過ぎたころ、生徒さんのおじい様が、急にお亡くなりになり、アトリエを休みました。当然１週間以上はお休みになるだろうと思っていましたが、お葬式の次の日にアトリエに来てくれました。同居のおじい様だったので、ちょっと驚き「もう、大丈夫なんですか？」とお聞きしたところ「どうしても絵を描きたいと言うので、連れてきました。」と言って２年生の息子さんをアトリエにおいていかれました。描いた絵は、赤と黒での絵の具で描かれた爆発したようなタッチの絵でした。その後一年をかけて絵でいろいろな思いを吐き出しながら、大好きだったおじいさまを不慮の事故で亡くした悲しみを乗り越えていったのです。

1年後、彼は『静かな夜空の星になったおじいちゃん』の絵を描いて、私に「おじいちゃんは、お星さまになってぼくたちを見守ってくれているんだよね。」

と言ってくれました。こうした出来事がきっかけで、単に上手に絵が描けるようになる絵画教室ではなく、心に寄り添うスペースでありたいと考え、東京青山にある『色彩学校』を主宰されているアートセラピストの末永蒼生先生に学び、心に寄り添うアートの提供をするアトリエを開くことになりました。

アートセラピーをベースにした自由空間あとりえ“ず～む”の誕生です。絵画教室を始めてから５年が経っていました。

この後、順調だったアトリエを一度つぶす出来事が起こります。

そのお話は～第３話：さよなら『あとりえ“ず～む”』～でお話いたします。本日のところはお休みなさい。