～第６話：障がいってなに？～　part3　心の色～

細かい数々の葉っぱの絵、大好きなこの絵を描いた時のお話をしましょう。

細い筆でたくさんの葉や枝を描く作品は、当時の私のお気に入りの描き方。この作品もベースに描いた森の木に描くのに一年かかっていました。ある日絵画教室の終了後、自分の作品を描き次の日まで作品を片付けるのを忘れていました。そして、次の日その絵をみつけた、はーちゃんは真っ赤な絵の具をのせてくれました。私としては大ショック！生徒さんが帰ったあとその絵を水で洗い流し、消えかけた木々の葉っぱを描きなおすことにしました。アクリル画とはいえ、水でジャブジャブ洗い流せば描いた画面は剥がれてしまうので、かなり描き直しが必要でした。その後、絵は必ずしまっておくことにしたのですが、不思議な事にはーちゃんは葉っぱの絵を探し出し、なおしを入れた作品に「その日の彼女色」をのせるのでした。何回か繰り返す色のやり取り…ある日今までの自分の絵にはなかった色の深みが出ている事に気が付きました。私が他の人の色を心から受け入れ、納得出来た瞬間でした。

彼女の行為の本当の意味に気がついたからなのか？はーちゃんはその後、私の作品に色を塗るのはやめたようです。言語のコミュニケーションが苦手な彼女が、私に伝えてくれたことは、非言語のコミュニケーションツールとしての色の存在でした。この、彼女との色のやり取り（心のやりとり）は、今　私が絵を描く時の原点の心…「寄り添いの絵画」の基となった作品作りのエピソードでもあります。

～第7話：森との対話～　お楽しみに♥