～第７話：森との対話　part3 火祭り～

木々が枝葉を落とす冬、男の子達は寒さにも負けず駆け回り遊ぶ…。何時誰が始めたのか…気がつくとアトリエの庭、森の入口にはブロックで囲んだたきスペースがある。学校でいじめられた子が、いじめっ子の名前を書いた藁人形を作り辛い思いを燃やした…学校の決まりを守れなかった子がたき火のルールを守ることで、集団行動の決まりを守るようにもなった。数々のエピソードがある。

たき火をすることに関しては、最初から歓迎だった訳ではなく、私自信たき火に興味は無かったし、「子どもと火の組み合わせ」は「危ない」といったイメージしかなかった。しかし、アトリエに通って久しい男の子が、「どうしても小学校であった嫌な思い出を燃やして中学校で頑張りたい」と申し込んで来た気持ちは、無視出来なかった。きっと、彼には大きな意味があるんだろう…と感じられたから。発達障害を持っている彼はコミュニケーションが上手く行かないところがあり、場の空気が読めない。高学年になって来るにつれちょっと“はぶかれる”対象になった。そんな状況だったのは聞いていたので、彼のたき火に付き合ってあげたい気持ちが勝った。たき火をしていると続々と参加、他の子ども達も銘々が溜まっていた心模様を大きな紙に書き“お炊き上げ”が始まった。積極的に薪を集める彼ら…。普段、話をしたこともない子達が自分たちの役割を自分たちで決め、大きな火が燃え始める！そして、たくさんの思いを燃やし…歓声と共に火祭りは終わりました。いつの間にか、辺りは暗くなりお迎えに来たお母さんは、人形を燃やす姿にビックリしたりしていましたが、お父さんは息子の頭を笑いながら叩いて「楽しかったか？」と聞いて「いいな～！たき火か!!」といたく感激していたりたき火は大盛況!!

そんなことを繰り返し、いつかアトリエのたき火は定番になり「辛い思いのはけ口・気持ちの整理のため・年末の大掃除の後・焼き芋やマシュマロ焼きのため」いくつもの思いが重なり混ざり「火祭り」は行われます。それは、予告も約束もなく始まりそこにいた子がその日の心で参加します。女の子数名はお芋を持参していて、たき火が始まると焼き芋にするのを楽しみにしている子がいたり、時には首つりしている新聞紙人形がいたりもして、ちょっと私もドキドキしたりしていましたが、でも学校に行けてない子が登校出来るようになったり、多動と言われた子が落ち着いて来たりと、たき火との関係は解らないけど、子ども達に変化が見えてくると「この子達は大丈夫、このたき火をすることで、人を憎んだり恨んだりする心を浄化したりしているんだ。」と思えるようにもなって、結果良かったと思える出来事が重なり、アトリエでは今や大人の方も巻き込んで表現としての「たき火アート／火祭り」があります。森が促した表現活動だと思っています。自然の深さに感謝してやみません💓

次回～第７話：森との対話　part4 探検に行こう！～動物達も出て来るよ！お楽しみに。