【平和は状態であり、戦争は過程である】

クラウドファンディングの目的は撮影の旅だが、その後は撮影した写真を素材に映画を作ることにしている。

平和の映画だ。活動に賛同してくれた１万人の人々が、鳩の絵を持ちコマ送りのムービーのひとコマとなる。すると、一羽の鳩が人種、国境を超えて飛びまわる。視覚的に平和を表現するものだ。

その映像の後ろでは、世界中の様々な人と語り合った「平和についての話」が延々と流れ続ける予定だ。戦争の話は衝撃的で人の注意を引くのかもしれない。ところが平和の話である。恐らく退屈なモノになるだろう。もちろん作品としては、見る人に苦痛を与えることなく、何らかのテーゼを残すものにするつもりだ。

平和の話は退屈で、戦争は語りやすいような気がする。それは戦争は勝利のためという一点に気持ちを集中させやすく、それ以外の事は単純化されやすいからか。もしくは平和は状態であり輪郭があいまいで目的があるわけではないからなのか。

僕は平和へのプロセスは対話だと思っている。相手を説得するのではなく、理解するための対話だ。

説得しない対話に派手な見せ場はいかもしれない。でも、世界の様々な場所の、いろいろな立場の人の考えを知ることにはなろう。人の考えに触れる。その行為自体が、もしかしたら平和へ繋がる絆なのかもしれない。

視覚的に平和の象徴としての鳩が羽ばたく動画を見ながら、音声で人の考えに触れる。そして、自分なりに他者を理解するという、一見退屈なプロセスこそが、もしかしたら大切なのかもしれない。