【ネクストゴール】エンリッチメントアイテムってなんだ？　後編

福山市立動物園の飼育員、萩原慎太郎です。昨日は、エンリッチメントのことをお伝えしました。今回はボルネオゾウふくちゃんのエンリッチメントや開発したいアイテムのことを説明します。

 

 

ふくちゃんの場合、これまでに“お手軽！もったいないエンリッチメント”として、廃材のタイヤや消防ホース、ロープ、竹などをリサイクルし、エサ入れ（フィーダー）や遊具を作りました。ゾウは力が強く、とても頭の良い動物なので、破壊されて事故につながらないように注意し、かつふくちゃん自身が考えることでエサが獲得できるといった課題解決型のエンリッチメントにも取り組んでいます。

 

 

一方で、欧米などの先進的なゾウ飼育では、大型で強固、機械式などの、日本ではなかなかお目にかかれないエンリッチメントアイテムが使用されています。私はエンリッチメントを勉強し、実施していく中で、このようなエンリッチメントアイテムをふくちゃんに使わせてあげたい!!と思うようになりました。

 

 

欧米では大型エンリッチメントアイテムを製作する会社が存在します。でも、日本にはありません。そこで、人間用の遊具製造などで有名な福山市の地元企業「タカオ」さんに協力していただき、日本ではめずらしいゾウ用の大型遊具の開発を計画しています。

 

 

具体的には、直径約70cm、高さ140cmの金属製の円柱を横にして、ゴロゴロと転がすことができます。転がると中央にチェーンで固定してあるエサ入れが揺れて、好みのエサが出てくる仕組みのエンリッチメントアイテムです。もちろん、ふくちゃんが踏んでも壊れません。

 

 

日本ではこうしたゾウのエンリッチメントアイテムは数少ない例で、挑戦的な取り組みになります。しっかりとデータをとりながら、ふくちゃんの幸せはもちろん、日本の他のゾウでも使えるようなエンリッチメントアイテムを目標に頑張っていきたいと思います。

どうぞご支援よろしくお願いいたします！

（写真はタカオの担当者（左）と筆者（中央）、寺岡園長によるエンリッチメントアイテムについての打ち合わせ）